『「永遠の初心者を脱する!」ための競馬思考』6 距離短縮の優位性

現在の予想スタイルに至るまでの物語。

 時は2012年頃になるでしょうか。
 精神疾患(うつ病)の悪化などの事情により、私は実家の帯広に戻ることとなりました。帯広で困るのが競馬、という訳で、即PATに加入することにしました。まだゆうちょ銀行が対応していなかったため、道民が加入する機会は少ないであろう三井住友銀行のインターネットバンキングに加入しました。

 当時はウインズ通いが当たり前でしたが、今、札幌在住だとはいってもわざわざ足を運ぶ気になりません。パソコンが予想の必需品だからです。競馬場・ウインズにWi-Fiが完備されているとはいっても、わざわざ持ち運ぶのも手間でしょう。
 グリーンチャンネルwebを繋いでいる自宅が、部屋着でくつろげる最上のウインズなのです。

 とはいえ、今のウインズにどういう層がいるのかは興味深い点です。
 今でも高齢層の競馬ファンは、赤ペンを耳に挟みながら競馬新聞を広げているのでしょうか……。昔、ワンカップを立ちながら飲んでいる初老の男性に中身の酒をぶっかけられて、平謝りされたことがあります。「ああはなりたくないな」と申し訳ないながらも思ってしまったのですが、幸い、自宅がウインズと化している私はそうなることはないでしょう。その代わり、孤独死が待っているかもしれませんが……。

 ウインズの何が気になるかと言えば、競馬で負けているだろう人々の姿を見て、または交わされる会話を聞いて安心したいのです。
 悪趣味であることは承知ですが、自宅で孤独に競馬をしていると、自分の立ち位置がよく分からなくなります。「こんなに負けている人たちがいるんだ」という安心感、または自信や気持ちの余裕を、ウインズならきっと与えてくれるでしょう。
 現在のコロナ禍が収束したら、一度は足を運んでみたいと思っています。もし、競馬のプロ集団がノートパソコンやそれ以上のデジタル機器を持って徒党を組んでいたとしたら……、見なかったことにしたいですが、それはそれで身の引き締まる思いになることでしょう。
 ですが、数年前に行った阪神競馬場や京都競馬場でそんな集団は見かけなかったので、きっと若者が多少増えている程度だと想像しています。

 話を戻します。
 targetとスピード指数をいう強力な武器を手にした私は「スピード指数が有用なダート競馬だけなら勝てるのでは?」と思い、ダート競馬の研究を始めて馬券を購入することにしました。
 結果、そんな簡単にはいきませんでした。
 コース別の脚質・枠順の有利・不利は調べました。
 クラス・コース別の平均ラップも調べて、ペースの有利・不利についても確認しました。
 それでも勝てなかった理由は沢山あると思いますが、ここでは三点挙げましょう。

1距離短縮馬有利・距離延長馬不利、という競馬の根本原理を知らなかったこと。
2馬のコース適性を無視して指数だけで順序付けしていたこと。
3そもそもスピード指数が当たり前の存在すぎて、人気に反映されてしまうこと。

 targetを十二分に活用していなかったことも挙げられますが、それに関しては別項で書きたいと思います。

 まず1の距離短縮と距離延長に関して。

 これは元々、今井雅宏氏が提唱している「Mの法則」で言われている理論だと聞きました。
 私は『競馬で長期的に勝つための馬券師バイブル』大串知宏著、にて始めて知りました。この本は競馬予想本の中でも「永遠の初心者」向きで、本書もこの本から多くの知見を得た上で執筆しています。

 ごく簡単に説明します。
 馬はそのレースで走る距離を知らない訳ですから、前走の記憶を頼りにして走るそうです。短ければ「今日は走る距離が短くて楽だな。頑張ろう!」と感じて好走する、反対に長ければ「今日は走る距離が長い……。もう無理……」と感じて凡走する理論だと押さえておけば良いでしょう(詳しい人にはあまりに単純すぎて怒られてしまいそうですが……)。
 ちなみに、Mの一つはMental(精神)のMです。

 本当に馬のメンタル面に帰結する問題なのかは議論の余地がありそうですが、前走との距離比較をした場合、距離短縮が最も回収率が高くなっているのは確かな事実です。

 前走との距離比較(2018年~2020年末までの全レースが対象)

・距離短縮 単勝回収率80% 複勝回収率78%
・同距離 単勝回収率70% 複勝回収率74%
・距離延長 単勝回収率70% 複勝回収率69%

 以上の通り、距離短縮の回収率が最も高くなっています。

 加えて、大串師の分析によれば、

・短縮の『幅』が大きいほど回収率が高くなる
・『短距離』で回収率が高くなる
・『大型馬』ほど回収率が高くなる

 という結果が出ているそうです。

 是非、このロジカルについては『競馬で長期的に勝つための馬券師バイブル』を読んでみてください。「永遠の初心者」向けの、本当に素晴らしい本です。この本なくして、今の私はありません。

 短距離で特に回収率が高くなるというのは、私のロジカルでも説明可能です。

 たとえば、ダート1200mと1400mを比べてみましょう。
 実は、阪神競馬場のダート1200mとダート1400mの前半3ハロン・前半4ハロンのラップを比較すると、後者の方が速いのです。
 平均ラップを出してみます。

12.38-11.06-11.82-12.06 (35.26秒-47.32秒)
12.32-10.89-11.71-12.28 (34.92秒-47.2秒)

 上がダート1200mで、下がダート1400mです。

 1400mは芝スタートだから速くなって当たり前、という考え方があるかもしれません。
 とはいえ、その距離はせいぜい150m程度(とはいえ、かなり長いとも言えますが)なので、2ハロン目からは1200mの方が速くなっても不思議ではありません。
 ところがそうなっていないのです。
 4ハロン目までを計測しても、1400mの方が速くなっています。

 もちろん、上がりに関しては1400mの方がかかっています。

12.06-12.12-12.86 (37.04秒)
12.37-12.35-13.03 (37.75秒)

 上が1200mで、下が1400mです。

 単純計算すれば、1400mのラスト1ハロンの平均13.03秒がなくなったのが1200mなのですから、距離短縮の方が有利になって当然ではないでしょうか?

 こうした現象は芝でも普通に起きています。
 2012年のオーシャンステークスを例に挙げましょう。
 勝ったのはコントラチェックで、その走破時計は1.08.4です。
 ターコイズステークスのコントラチェックの1200m通過タイムは1.09.3になります。ここから400m長く走るのに、0.9秒しか差がないのです。

 いやいや、0.9秒差は大きい、という方には、前半3ハロンの時計を提示しましょう。

 オーシャンステークスの前半3ハロンは33.7秒で、ターコイズステークスの前半3ハロンは33.9秒と、0.2秒しか差がありません。
 オーシャンステークスでコントラチェックは先頭と離れた2、3番手を追走していましたから、前半3ハロンの通過はおそらく、ターコイズステークスとほぼ同タイムと見て良いでしょう。
 前半ほぼ同じペースなのに、残り1000m走らなければならないのと、600mしか走らなくて良いのでは当然、馬の楽さが違います。
 後者の方が楽に決まっています。
 私はオーシャンステークスで、コントラチェックのターコイズステークスの前半3ハロンのタイム、かつ、枠順の並びから楽に先行出来ると判断して本命にすることが出来ました(前走シルクロードステークスは出遅れ、前々走のラピスラズリステークスは超ハイペースの前崩れでした)。
 結果はまさしくその通りの展開となってコントラチェックの勝利。
 私は、単勝・馬連・三連複・三連単を総取りすることが出来ました。

 基本的に長い距離を走っている馬の方が、短い距離を走っている馬よりも強い、と私は考えています。

 もちろん、前半の追走能力も馬の重要な能力ですし、前半の追走が速くなって苦にする馬がいるのは確かですから、一概に結論付けることは出来ないにせよ、です。
 もうお分かりでしょうが、距離延長を得意とする馬がいる理由は、前半の追走が楽になるから、です(それに対応出来るスタミナを備えている、というのも重要でしょうが)。

『1頭の種牡馬の凄いクセをつかむだけで1千万円稼ぐ』双馬毅著、では大半の馬が距離短縮を得意とすること、距離延長を得意とする馬は少なく、その手の馬を輩出する種牡馬を覚えておくのが簡単だという趣旨のことが書かれてあります。
 距離延長を得意とする種牡馬を数頭引用してみます。

 ゴールドシップ、ハーツクライ、アイルハヴアナザー、ノヴェリスト、メイショウサムソン

 などです。

 如何にも鈍足で追走に苦労しそうな種牡馬ばかりになりますね。
 意外な種牡馬も含まれていますので、興味がある方は購入してみると良いでしょう。

 以上が距離短縮・距離延長について、の話になります。
 当時はこの有利・不利さえ知らなかったのです。
 1200mで指数98の馬と1400mで指数95の馬、「指数が高いから」という理由で前者ばかり買っていては勝てる訳がありません(笑)

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