『「永遠の初心者を脱する!」ための競馬思考』9 競走馬の2分類。

 私の尊敬している人が、人の性格を九つに分類する「エニアグラム」という性格論の信者なのですが、以前、面白いことを述べていました。
 人の性格を九つに分類出来ると言うと、「人の性格を九つなんかに分類出来るはずがない!」 という批判・反発が当然予測されます。
 今読んでいる方々にも、そう感じた人が多いのではないでしょうか?
 彼はそれに対して「じゃあ、せめて二つに分けてくれ!」と言うのです(笑)
 確かに、二つに分けるというのは合理的な気がします。
 その二つというのはユングの性格理論による分類なのですが、「内向型」と「外向型」です。
 どうでしょうか?
 これなら分けられそうに感じるのではないでしょうか?
 今では皆がごく普通に使っていますよね。

 競走馬の場合はどうでしょう?
 亀谷敬正氏は、血統を欧州型・米国型・日本型の三種類に分類しています。
 欧州は、自然を利用した起伏の激しいタフな芝コースがメインで、前半はスローペースでゆっくりと流れます。『勝ち馬が分かる血統の教科書』亀谷敬正著p14、には欧州型は「タフな馬場に強い」と書かれてあります。
 対して米国は、平坦のダートコースがメインで、前半からすっ飛ばしてどこまで残れるか、という競馬が主流です。「ダートの短距離に強い」と書かれてあります。
 日本は「芝の中長距離の良馬場に強い」と書かれてあります。
 こうしたレース質の違いが、各国で活躍する種牡馬の違いとして現れるのは自明の理、のように感じます。

「競走馬の能力(の方向性)は一定ではない」
と、彼は口を酸っぱくして言いますが、もう少し具体的に見ていきましょう。

 芝3600mで強い馬はダート1000mで弱くなる、というのは当然でしょう。アルバートがダート1000mに出たら追走で目一杯になって終わると思います。

 では、速いタイムの出る新潟芝1000mで、ダート馬が比較的来やすい理由をご存じでしょうか?
 代表的な例がライオンボスです。
 この馬はダート1000mで二勝した後、芝とダートの1200mで惨敗。その後、新潟直線1000mを三連勝することになります。

 競走馬が本当に全力で走れる距離は50mだそうです。ある程度、全力で走れる距離だと、300m程度になります。
 直線競馬の1000mは短距離とはいえ、馬がずっと全力で走れる距離では到底ありません。コーナーがあれば、そこでペースが緩んで息も入れやすいですが、直線競馬ではそう上手くはいきません。

 ライオンボスの勝ったアイビスサマーダッシュのラップを見てみましょう。

11.9-10.2-10.5-10.7-11.8

 見てお分かりでしょうが、2ハロン目からずっと減速し続けているのです。
 これでは脚を溜める余裕などありませんから、新潟1000mは一般のイメージに反して、究極の持続力勝負になりやすい、と言えます。
 これは、前半からすっ飛ばして、後半どれだけ粘れるかのダート短距離と非常に似通っているのです。ですから、新潟直線1000mはダート馬も比較的来やすい、というロジカルなのでしょう。

 新潟外回りは直線距離が658.7mと日本一の長さを誇ります。
 野芝のみで行われる唯一の競馬場ということもあり、上がりの時計も速くなります。一見、瞬発力タイプが来そうに感じますが、事実はそうではありません。
 直線が長すぎて瞬発力タイプはバテてしまうから、というのが理由です。

 昔、私はこのロジカルを知りませんでした。
 キセキが信濃川特別で上がり32.9秒の末脚を使って勝った時に「どうして持続力タイプのルーラーシップ産駒が新潟で好走するのか?」と疑問に思っていました。
 若い頃のキセキは持続力の化け物だったと評して良いと思いますが、その片鱗を新潟で見せつけていたのです。

 さて、ここで私も訴えかけましょう。
競走馬を二つに分けてくれ! ただし、競馬新聞に載っていない方法で!」と。

 芝馬とダート馬?
 短距離馬と長距離馬?
 いいえ、競馬新聞を見ればおおよそ分かります。

 ご存じの方には当たり前かもしれませんが、私の求めている正解は「瞬発戦型」と「消耗戦型」の二つです。

 この二つの分類方法を私は『競馬で長期的に勝つための馬券師バイブル』という本で初めて知りました。
 2018年初版ですから、それまで知らなかった訳です。
「今まで一体何を見て競馬を予想していたんだ! 二十年以上を返せ!」と思うくらい革新的な分類方法でした。目から鱗とはまさにこのこと。
 今ではこの分類方法なくして「芝重賞(特に古馬)」は予想出来ません。

 簡単にどのような分類か説明しましょう。
 レース上がりが目安になります。
『競馬で長期的に勝つための馬券師バイブル』では、レース上がり(芝の場合)の目安が35.7秒以上かかれば消耗戦、それ以下なら瞬発戦と分類しています。
 あくまで大まかな目安で、高速馬場ではレース上がりが35.7秒以上かかることが減りますし、大逃げがあった場合、レースラップだけでは参考になりません。

 瞬発戦・消耗戦がはっきりと分かれやすい東京芝2500mの目黒記念とアルゼンチン共和国杯、そこによく出てくるアイスバブルを例に挙げてみましょう。

2021年目黒記念
レース上がり 32.8秒 アイスバブル 1.1秒差8着

2020年アルゼンチン共和国杯
レース上がり 34.9秒 アイスバブル 1.4秒差12着

2020年目黒記念
レース上がり 35.9秒 アイスバブル 0.1秒差2着

2019年アルゼンチン共和国杯
レース上がり 34.1秒 アイスバブル 1.0秒差 11着

2019年目黒記念
レース上がり 35.8秒 アイスバブル 0.2秒差 2着

 綺麗に分かれてくれましたが、アイスバブルという馬は、レース上がり35.7秒以上のレースで好走する「消耗戦型」の典型的競走馬と言えます。
 オープン馬の場合、私は頭の中で無意識にどちらのタイプか分類しています。
 その見分け方は基本的に戦績で判断ですが、血統も参考になります。
 ダイワメジャー、ステイゴールドは消耗戦タイプばかりを多く輩出する典型的な種牡馬と言えるでしょう。
 もちろん、どちらもこなせるタイプもいて、そういう馬は「適性の幅が広い馬」と私は呼んでいます。
 2021年ヴィクトリアマイルで穴をあけたランブリングアレーは、消耗戦・瞬発戦兼用タイプに当てはまると言えるでしょう。
 切れ味が身上とされているディープインパクト産駒は瞬発戦タイプが多そうに感じるかもしれませんが、案外、消耗戦タイプの馬も多く輩出しています。

 ディープインパクト産駒の瞬発戦型:コントレイル、サトノダイヤモンド、ワグネリアン、マカヒキ、グランアレグリア、ジェンティルドンナ、ダノンファンタジー……
 ディープインパクト産駒の消耗戦型:アルアイン、マリアライト、カレンブーケドール、ワールドプレミア、ギベオン、……

 ここで簡単に述べますが、ディープインパクト産駒の牡馬の瞬発戦型は年齢を重ねると瞬発力を失って消耗戦型にシフトする場合が極めて多い。
 その理由としては、筋肉が硬くなるから、と聞いた覚えがあります。
 ダービー馬を中心に派手なタイプが多いからか、復活を期待する人を多く見かけますが、基本的に復活しません。
 上に挙げた牡馬で完全復活した馬は皆無、でしょう。
 コントレイルはジャパンカップと大阪杯で連敗しましたが、今後、疑ってかかった方が良いと現時点では思っています

 一方で、消耗戦型は長持ちします。
 ワールドプレミアは今後も期待出来そうですし、ギベオンも金鯱賞で大穴をあけて健在なところを見せつけました。

 牝馬の方は筋肉の質の問題なのか、どちらのタイプでも非常に長持ちします。

 他の例も挙げてみましょう。
 極端と述べたダイワメジャー産駒は、その代表産駒の大半が消耗戦でパフォーマンスを上げます。この適性による上げ下げを知っているだけで、買い時が分かるのです。
 2017年の桜花賞は稍重でハイペース。
 レース上がりが36.2秒もかかりました。
 ダイワメジャー産駒のレーヌミノルが穴をあけて勝ちましたが、それ以前の四連敗のレース上がりは、京王杯2歳ステークスから、34.2秒、35.2秒、34.1秒、35.5秒(これはフィリーズレビューの二着ですが、明らかに浜中騎手の騎乗ミスで、安藤勝巳元騎手もTwitterで苦言を呈していました)、フィリーズレビューを除けば適性外のレースで負けていただけだと分かれば、桜花賞は買いだった、と言えるでしょう。

「そもそも、レース上がりが速くなるか遅くなるかはペースによるじゃないか。ペースが読めなければ意味がない。結果論だ」
 そういう疑問の声が聞こえてきそうです。
 確かにペース予想は難解です。
 が、その日の馬場の重さやコースの特徴を頭に入れておけば、読める場合も多いと言えるでしょう。

 次項では具体例を挙げていきたいと思います。

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