『「永遠の初心者を脱する!」ための競馬思考』14 イメージと現実のギャップを利用する有用なデータについて。

競馬はデータの宝庫ですが、有用でないデータも多々あります。
特に、過去10年の重賞データというのは、私にとって存在価値が理解出来ません。毎年メンバーも馬場も違いますし、サンプルとしての量も少なすぎます。今は京都の改修工事によって開催される競馬場が違うのに、そこを一緒くたにしている人も決して少なくありません。安田記念はハイペースになりやすく、マイルチャンピオンシップはスローになりやすい、なら理解出来ますが、それならコースの特徴から判断可能です。
本記事では、一般のイメージとギャップのある有用と思われるデータを紹介していきます。

逃げ馬の回収率が高い」というのは有名なデータだと思います。
集計期間(2018年頭~2020年末)を見ても、逃げ馬の単勝回収率は195円、複勝回収率は137円と非常に優秀です。
勝率18.0%複勝率39.8%と、好走率ベースにおいても素晴らしい成績で、逃げ馬や前残りに焦点を当てた競馬本が複数出版されているのも頷けます。

その一方で「前走で逃げた馬の回収率は低い」というデータがあるのはご存知でしょうか?
これはロジカルに考えれば理解出来ると思います。
前走で逃げた馬は、今回も逃げることを期待して馬券を買われる場合が非常に多いと思われます。
しかしながら、レースは生き物です。
前走で逃げた馬がまた逃げられるとは限りません。

実際、集計期間内に逃げた馬はのべ10851頭いますが、その中で前走でも逃げていた馬はのべ2883頭に留まります。

前走逃げた馬の成績

勝率9.5% 複勝率25.5% 単勝回収率69円 複勝回収率71円

逃げ馬の成績

勝率18.0% 複勝率39.8% 単勝回収率195円 複勝回収率137円

前走逃げた馬の回収率は平均を大幅に下回っています。一枚割り引いて考えるべきなのです。イメージと現実にはギャップが多く存在しますので、これを馬券に利用しない手はないでしょう。

続いて、馬体重の増減についてのデータを提示します。
「馬体が減ってきた。これは究極の仕上げだ」とnetkeiba.comの掲示板等で目にしますが、実は馬体重は増えていた方が圧倒的に回収率が高い。

~-20キロ 単勝回収率34円 複勝回収率40円
-19キロ~-10キロ 単勝回収率70円 複勝回収率69円
-9キロ~-4キロ 単勝回収率71円 複勝回収率74円
-3キロ~+3キロ 単勝回収率73円 複勝回収率74円
+4キロ~+9キロ 単勝回収率71円 複勝回収率74円
+10キロ~+19キロ 単勝回収率82円 複勝回収率73円
+20キロ~ 単勝回収率105円 複勝回収率77円

馬体重を見た瞬間、真っ先に太め残りを疑ってしまう+20キロ以上が最も回収率が良いのです。好走率もさほど悪くありません。

+20キロ~ 勝率7.2% 連対率12.2% 複勝率17.3%

最も悪いのが、大幅馬体減になります。

~-20キロ 勝率2.7% 連対率6.3% 複勝率8.3%
-19キロ~-10キロ 勝率5.6% 連対率11.1% 複勝率17.5%

最も好走率が高いゾーンは、-3キロ~+3キロになります。

勝率7.6% 連対率15.5% 複勝率23.2%

大幅馬体増で良い思いをしたといえば、2021/8/1の関越ステークスが真っ先に浮かびます。
私はブログにて、「勝つ確率が非常に高い馬」にだけ打つS評価をサトノウィザードに与えていました。
この馬の能力を元々高く評価していたこと、大外ぶん回し騎乗を繰り返していた鮫島良太騎手から、内枠得意の福永騎手に乗り変わったこと、新潟外回りが得意なこと、相手に恵まれたこと、等が主な理由です。
馬体重発表前までは、1番人気のジュンライトボルトとそう差のない2番人気でしたが、+16キロと発表されてからは人気がどんどん下がっていき、最終的には3番人気の側に近い4.8倍まで下がりました。
過去のパドックと見比べて「太くない」と判断した上、単勝にブチ込みましたが、レースは出遅れ、スローペースと冷や冷やものでした。直線だけで勝ってくれましたが、福永騎手が慌てず内で脚を溜めていたのも勝因でしょう。まさか4.8倍も付くとは想像だにしてませんでしたから、非常に美味しい馬券にありつくことが出来ました。

もちろん、痛い目を見た経験も多くあります。
中でも、馬体重を減らしやすい若駒の牝馬、での経験が記憶によく残っています。
フローラステークスは2019年・2020年と二年連続で大幅馬体減の馬に本命を打って、惨敗を喫しています。
2019年の本命はローズテソーロ。当日の馬体重が-18キロで、後方のまま見せ場もなく殿負け
2020年の本命は-14キロのウィスパリンホープ。対抗が同じく-14キロのスカイグルーヴ。ウィスパリンホープはブービー負けで、スカイグルーヴは1番人気を裏切って5着に敗退(ただし、2020年は-10キロのウインマリリンが勝利、2021年は-8キロのスライリーが2着、-10キロのユーバーレーベンが3着に食い込んでいます)。
他、2020年の京成杯は牝馬ながら果敢に出走してきたキムケンドリームに本命を打ちましたが、こちらも-12キロでブービー負けを喫しました。
以来、若駒の牝馬は馬体重を必ず見てから本命を決めるようにしています。
牝馬の馬体重に関しては特に、読者の皆様にも当日の発表を考慮することを強く推奨したく思っています。

他、一般的に期待を持たれやすいのが、ブリンカー着用だと思います。
集中力が増す、行きっぷりが改善する等の効果が期待されるブリンカーですが、データ上ではさほど能力の向上に貢献していないと出ています。

ブリンカー使用馬全体 勝率6.0% 複勝率19.6% 単勝回収率77 複勝回収率75
ブリンカー不使用馬全体 勝率7.3% 複勝率21.8% 単勝回収率72 複勝回収率73

ブリンカー使用→ブリンカー使用 勝率6.4% 複勝率21.0% 単勝回収率75円 複勝回収率75円
ブリンカー使用→ブリンカー不使用 勝率4.2% 複勝率10.1% 単勝回収率60円 複勝回収率77円ブリンカー不使用→ブリンカー使用 勝率5.1% 複勝率16.2% 単勝回収率84円 複勝回収率77円

初めからブリンカーを使用していない馬の方が好走率が良くなっています。
その理由は、ブリンカーを着用しなければならないような馬はもともと気性が悪くてアテにならない、からです。また、ブリンカー着用で劇的な効果が出るのなら、多くの陣営が着用させるでしょう。

ただし、効果がてきめんの馬もいます。
2021年フェブラリーステークスで三着のワンダーリーデルは、このレースでブリンカーを着用してきました。いつも通過順が二桁の当馬が、道中7番手を追走出来たのは、ブリンカー効果が大きかったように思います。鞍上の横山典騎手も「陣営と相談して着けたブリンカーも効いていたかもしれない」とレース後、コメントに残しています。
(なお、ワンダーリーデルは次走のグリーンチャンネルカップでブリンカーを外して最後方からの競馬になりました。ブリンカーは装着し続けると効果が薄れると言います。再度、着用してきた時は勝負気配にあるとみて狙い目かもしれません)。

2021年11月現在、1勝クラスに在籍しているフームスムートは、ブリンカー着用前までは掲示板前後のレースを繰り返していましたが、着用後は二戦連続して二着と好走しています。
2勝クラス在籍のスマートアリエルは、最後、自分から止めてしまうようなレースを続けていましたが、ブリンカー着用後は、5着、5着、2着と明らかに復調しています。

お気づきの方がいるかもしれませんが、上に挙げた三頭は全てダート馬です。実はブリンカー着用は芝よりもダートの方が期待出来ます。

ブリンカー不使用→ブリンカー使用(ダートのみ) 勝率5.4% 複勝率11.5% 単勝回収率94円 複勝回収率80円

好走率は着用後も低いままなのですが、回収率に限れば非常に優秀になります。ブリンカーの着用で行きっぷりが改善して結果が出やすいのが、前有利のダートだからかもしれません。
また、ダートは砂被りを嫌がる馬が多いですから、集中力が増すブリンカーで一変する馬が多いのかもしれません。
2019年のシルクロードステークスで、セイウンコウセイはブリンカーを着用して大逃げ、惨敗を喫しました。レース後、池添騎手が「ブリンカーが効きすぎた」との弁を述べています。ブリンカーが効きすぎて逆効果になるというのは、ままあることだと聞きますが、緩急を付けることが重要になってくる芝に比べて、前傾ラップが当たり前のダート戦なら一本調子の競馬になってもそう問題がないのかもしれません。そういえば、ダートが主流のアメリカ競馬ではブリンカー着用馬が非常に多いですね。

他、データで注目したいのはローテーションです。
外厩等、調教技術の発達によって休み明けでG1を勝つ馬がごく普通の時代になりましたが、下級条件となると話は別です。下級条件では出走権が取れたから等の理由で連闘で使ってくる馬は少なくありません。
スズカパンサーが2021年1~2月にかけて小倉で6連闘しましたが、これには優先出走権が取れたから、という事情があります。その内訳は2着1回3着4回5着1回、5/6で馬券に絡むという素晴らしい成績でしたが、これは希有な例と言って良いでしょう。
連闘の好走率・回収率は、他のローテーションに比べて一枚落ちます。

連闘 勝率5.0% 複勝率10.1% 単勝回収率52円 複勝回収率60円

これは通常の休み明けよりも悪い成績となり、半年以上の長期休養明けとほぼ同等の好走率になります。

中9週~中24週 勝率7.1% 複勝率19.9% 単勝回収率75円 複勝回収率74円
半年以上 勝率5.8% 複勝率15.6% 単勝回収率75円 複勝回収率65円

好走率が高いのは、中2週~中3週で、中1週も成績が落ちます。
回収率は中2週以上ならほぼ変わりません。
その原因は、休み明けの場合、人気が明らかに落ちるから、でしょう。それに対して、連闘の場合はそれほど人気面に影響を及ぼさないように映ります。イメージと現実のギャップがある部分ですから、馬券に活かさない手はありません。

以前、メシ馬さんがツイキャスで「調教は見ない」と断言していました。だからといって調子を無視するのではなく、「馬体重とローテーションで調子を判断する」と続けていました。当時は「馬体重とローテーションでどうやって状態を把握するのだろう?」と思っていましたが、もしかすると、本記事で書いたデータを駆使しているのかもしれません(あくまで憶測になります)。
調教は通った位置やその日の馬場状態、追い方、騎乗者などによって時計が変わります。
その分、客観的に把握出来る部分が少なくなると言えるでしょう。
それならば、より客観的に把握出来るローテーションや馬体重を重視するのは理に適っていると言えるかもしれません。

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