『「永遠の初心者を脱する!」ための競馬思考』16 展開読みについて。

印を打った馬全てが下位に沈んだ場合、あなたはその予想を「大外れ」だと思うでしょうか?

たとえば、2021年の七夕賞
私が印を打った馬はその大半が下位に沈みました。

◎アールスター 11着
○クレッシェンドラヴ 14着
△プレシャスブルー 5着
△カウディーリョ 6着
△ヴァンケドミンゴ 12着
△ツーエムアロンソ 16着

こうして結果を並べてみて、今、冷静に振り返っても「大外れ」だったとは思いません。
というのも、私はこのレースで外差しが決まるという展開予想を組み立てましたが、結果、内枠の先行馬が上位を占める前残りになったからです。
つまり、展開予想が外れただけで、もし、外差し優位に働いていたら着順はガラッと入れ替わっていた、と考えているのです。その意味で、印を打った馬全てが惨敗した場合は、むしろ良い予想だったと思う場合すらあります。
「見当外れ」だっただけで「大外れ」ではありません。

では、この「見当外れ」はどうにかならなかったのでしょうか?
今考えれば、どうにかなったと思います。
2021年の福島は、地震の影響で4月10~25日の第一回開催が行われませんでした。例年、七夕賞が行われる頃には内の馬場が荒れて、外差しが決まりやすくなりますが、2021年に限ってはそこまで悪化していなかったのです。
実際、前日の時点では外を通る馬に厳しいレースが続いていました。
これが一点。
もう一点は、内枠に逃げ・先行馬が集まり、外枠に差し・追い込み馬が集まったという枠の並びです。
これについて、展開読みの達人である立川優馬氏に私はTwitterで質問しました。

このやり取りだけでは理屈が理解出来ない人がいるかもしれません。
簡潔に言えば、先行馬が内枠に揃ったため縦長の展開になり、差し馬が道中押し上げるタイミングもなくなった。差し馬の使う上がりでは物理的に届かない隊列と馬場になってしまったため、前残りになった、ということだと思っています。
「展開読みの達人」だと私が崇めている立川優馬氏ですら判断を誤ったのですから、当時の私ではどうあがいても内枠先行有利に辿り着けなかったでしょう。

本項では、主に立川優馬氏の著書『レース質マトリックス 競馬は全て二択である』を参考に、展開について語っていきます。

なお、私が初めて本書を読んだ時はその真価が全く理解出来ませんでした。
本当にこのスタイルで、本書が謳っている「全レース買ってプラス収支を達成する」ことが出来るのか、疑問の方が強く残ったのです。
というのも、おそらくは一見、当たり前のことが書かれているからだと思います。しかし、その当たり前なことを予想に活かしている人が少ない現状なのです。
その真価を理解したのは、立川優馬氏のTwitterをフォローして、その予想を目の当たりにしてから、になります。やはり、具体的なレースについての事前Tweetを見てこそ、理解が深まるなと感じます。
競馬の予想力を向上させるには情報収集力が大切です。是非とも、彼をフォローして、その予想理論を自分のものにしてください。
実は、私は2021年12月から「立川優馬の競馬と共に人生を歩むサロン」に入会しています。私の予想スタイルが、彼のロジカルな予想アプローチと親和性が高い、と感じたから入会を選んだのです。
オンラインサロンについては、競馬仲間を作る等、幾つか有用性があるため、また別の機会に記事にしようと考えています。期待していてください。

長くなりましたが、本題に入ります。
さて、皆様はどのように展開予想をしているでしょうか?
出走馬に逃げ・先行馬がどれだけいるか、で予想している人が少なからずいるかと思います(少し前までの私がそうでした)。
しかし、それだけでは不十分です。
立川氏は少なくとも、
1:馬場状態
2:逃げ・先行馬の頭数やその鞍上
3:枠の並び
4:ローテーション

を考慮に入れて予想しています(あくまで、少なくともこの4つは、というのをご理解ください)。

まず、1:馬場状態について。
ここでは中山ダート1200mを例に出しましょう。
中山ダート1200mが外枠有利なのは多くの人がご存知かと思います。
「芝部分を長く走れるから」「揉まれにくいから」という理由までセットでご存知の方がきっと多いでしょう。
しかしこれは、常に、という訳にはいきません。
ダートの含水率が高く、高速馬場になった場合は内枠有利に傾きやすいのです。
そのロジックですが、まず、ダートの含水率が高いということは芝も湿っていることが予想されます。
となると、芝の部分を長く走れるメリットが減少しますし、どちらも不良馬場の場合、芝とダートの走りやすさが逆転してしまう場合さえあります。

続いて、外を回す距離ロスが通常の馬場よりも大きく響くようになります。
時計勝負になる高速ダートでは、外を回していては物理的に間に合わない、という現象が生じる
から、です。

2021年のカペラステークスはその典型的なレースだと言えます。
このレースこそ良馬場で行われましたが、この日は3Rまでダートが稍重。雨の影響が残って高速馬場でした。
レースは大外枠のモズスーパーフレアの大逃げで、前半3ハロン32.8秒という超ハイペースでした。
勝ったのは、4番枠から内々を回ったダンシングプリンス。
2着は1番枠から直線だけ少し外に出したリュウノユキナ。
3着も9番枠から道中は内を通ったオメガレインボー。直線も最内を突く競馬でした。逃げてラチ沿いを通ったモズスーパーフレアが4着です。

しかし、この結果には「上位は人気馬ばかり。実力差が出ただけだ」という反論が予想されます。
それならば、この日、ダート1200mで行われた1Rと3Rを見てください。
1Rは、1番枠が3番人気2着、2番枠が7番人気3着で、2番人気だった15番枠は中団から競馬をして惨敗に終わっています。
3Rはもっと極端でした。
1番枠が2番人気1着。3番枠が6番人気2着。4番枠が3番人気3着。2番枠が4番人気4着。6番枠が8番人気5着。大外枠の1番人気馬は、何かあったのかもしれませんが、殿負けです。
偶然、では済ませられない結果でしょう。

なお、高速馬場のダート戦は総じて内枠有利に傾きやすいと言えます。
通常は外枠有利のコースでも、高速馬場の時には内枠も警戒する必要があります。

続いて、2:逃げ・先行馬の頭数やその鞍上、について。
逃げ・先行馬の頭数でペースを図るのは一般的ですが、これは立川氏の理論でも同様です。
少頭数でペースが落ち着きやすいのは、競う馬が少ないから。
逃げ・先行馬が多ければ、それだけ競う馬が増えますからペースは必然的に上がりやすい
と言えます。

しかし、単純に逃げ馬・先行馬と括るだけでなく、テンの速さを見てどの馬が逃げそうかまでしっかりと確認した方がベターでしょう。特に、逃げ馬が多い時は意識した方が良いといえます。
その際は、短距離の場合、テンの1ハロンの時計を、中距離以上ならテンの3ハロンの時計を参考にするのがベターでしょう(距離問わず、テンの1ハロンだけを参考する手もあり)。
逃げた馬ならレースラップがそのままテンの1ハロンになるから分かりやすいですが、2番手以下の馬は分かりにくいと思います。
その際、私が参考にしているのは、亀谷競馬サロンが無料で提供しているスマート出馬表です。
このスマート出馬表では、全ての馬の全レースのテン1ハロン時計が載ってます。テンの1ハロンタイムは非常に重要ですが、この時計が載っているのは、私が知る限り、スマート出馬表だけです。
テンの1ハロンを参考にすべき、という考えは、以下の本でも提唱されています。

テン1ハロン時計を比較するに当たって注意すべきなのは、スタートが下り坂のコースは当然ながら速く出る、という点です。
中山芝・ダート1200m、小倉芝1200m等は速くなりやすいですから、数字をそのまま鵜呑みにしないよう注意してください。

また、逃げ・先行馬の鞍上も重要なポイントです。
逃げ・先行馬に減量騎手を配してきた場合、逃げるよう指示されている可能性があります。複数頭の逃げ馬に減量騎手が乗っている場合は特に注意が必要と言えます。
あとは、騎手の騎乗スタイルも知っておくと良いでしょう。
積極的な騎手、消極的な騎手、それぞれ騎乗スタイルが存在します。
これに関しては、『「永遠の初心者を脱する!」ための競馬思考』15 騎手の出遅れ率等のデータ・特徴について。の方に今後、追記していこうと思っています。
「そこまで分からない」「面倒だ」という場合、鞍上の年齢で判断すると良いかもしれません。
逃げ馬にベテラン騎手ばかりが騎乗している時はそう速くならないと判断出来ます。

次に、3:枠の並び、についてです。
枠の並びを気にしている競馬ファンが少なすぎるように思いますが、これは非常に重要な概念です。口を酸っぱくして言いたいと思いますが、枠の並びはもっともっと重要視されて良い予想ファクターです。
立川優馬氏の理論でもキーとなってきます。
立川氏の理論によれば、逃げやすい枠に逃げ馬が入った時はペースは下がり、反対に、逃げにくい枠に逃げ馬が入った時はペースは上がると言います。
たとえば、内枠有利の中山芝1600mの場合、外枠に逃げ馬が入れば、テンに行くために無理をしてペースアップします。
内枠からなら難なく先行出来るのでペースは上がりにくい。

当然と言えば当然の理屈ですが、意識している人が少ない分、頭に入れておくだけで馬券力向上につながると思います。

枠の並びは、ペース予想以外にももちろん利用出来ます。
2021年の安田記念で、私はマイルの絶対女王グランアレグリアを連下評価に留めました。
これは、グランアレグリアにしては珍しく間隔の詰まったローテーションだったこともありますが、それよりも枠の並びが大きな理由です。
まず、外枠有利のトラックバイアスで、5番枠と内枠だったこと。
そしてそれ以上に気になったのが、両脇の馬の存在です。
グランアレグリアの内には、サリオス、ギベオン、ダイワキャグニー、カラテが、外にはダノンプレミアム、ラウダシオン、インディチャンプ、トーラスジェミニがいて、完全に先行馬たちに囲まれた枠だったのです。
絶対女王を連下評価に抑えたのは、この枠では後方からになる危険性が高い、と判断したのが最大の理由になります。
レースでは予想通り、内枠勢が先行。
置かれたグランアレグリアは外から他馬に寄られたのもあって位置を悪くしました。
最後は地力だけで2着まで追い込んできたのですから、結果的にモノが違ったという他ないのですが、負けたのは事実です。
馬券こそ仕留められませんでしたが、この読みは自画自賛出来るものでした。

最後に、4:ローテーション、です。
これは距離延長か距離短縮か、のローテーションであって、休み明け等、レース間隔のことではありません。
Mの法則では「馬は前走走った距離を覚えている」と言われているそうです。それが本当かはともかく、前走からの距離延長・距離短縮は、展開予想に活かせます。
距離延長の時は、前走より追走が楽になるのでより先行しやすくなる。
距離短縮の時は、前走よりスタミナ面で楽になるため、持続力が増すようになる。

立川氏の理論を強引にまとめてしまえば、以上のようになります。

馬場状態等によって、延長・短縮のどちらが走りやすいか変わってきます。
基本的には競走馬は距離短縮の方が有利。
事実、距離短縮は総じて回収率が高くなっています。

しかし、距離延長が活きる場合もあります。
たとえば、ダートの高速馬場の場合、スタミナ面の補完よりも速く追走する能力が重要になってくるので、距離延長馬が走りやすくなっています。
東京ダート1600mは基本的に短縮有利なコースですが、含水率の高い東京ダートなら距離延長でも走ってくる確率が高くなるのです。
2021年のユニコーンステークスは重馬場で高速ダートに。
2.3着は中山ダート1800mからの距離短縮馬でしたが、勝ったスマッシャーは1400mからの延長。超ハイペースながら、前走時よりも前目を追走して勝ち切りました。
当時、距離短縮が有利だということしか頭になかった私には絶対に買えない一頭でした。

一方、距離短縮で活きるのは、スピードの持続力になります。
たとえば、中山ダート1200mは、下り坂スタートから最後は急坂が待ち受けている、かなり前傾ラップになる非常にタフなコースと言えますが、そのため、基本的に距離短縮が有利に、距離延長が不利に働きやすいと言えます。
東京ダート1400m・1600m等からの距離短縮が有利になるのです。

距離短縮になればペースアップで自然と先行馬も差しに回りやすいですし、距離延長になれば差し馬も自然と先行しやすくなる。
当然の話ではありますが、この出し入れを自然と思い浮かぶようにしておくと、購入した馬の予想外の位置取りに慌てる危険性も減るでしょう。

他、展開について述べておきたいのは、重賞の場合です。
基本、重賞は毎年同時期で同コース。同じような馬場や似たようなメンバーで行われやすいため、過去と同じような展開になることが多いと言えます。
2021年の七夕賞こそ、馬場の違いがあって傾向が異なりましたが、基本的には外差し優勢のレースです。
同じ東京芝2500mで行われる目黒記念とアルゼンチン共和国杯ですが、時期や馬場の違いがあるせいか、前者はハイペースになりやすく、後者はスローペースになりやすい、と言えます。

あと、今は京都競馬場が改修中のため、中京や阪神で代替開催が行われています。同じ重賞名でも、コースが違えば過去傾向は全く当てはまりません。たまに一緒くたにする人を見かけますので、念のため述べておきたいと思います。

最後に、立川競馬サロン民として立川優馬氏の『レース質マトリックス 競馬は全て二択である』を再度宣伝しておきたいと思います。

Amazonのレビューでは評価が分かれていますが、正直、私は高評価・低評価、どちらも理解出来るつもりです。
本書だけでは、レース質マトリックスの真価を理解するのは難しいと思うのです。ですから、繰り返しになりますが、著者のTwitterをフォローして、そのTweetも参照しながら読み進めると理解が深まると思います。
そうすれば、レース質マトリックスを軽視するようなことにはならないと思います。
また、私の短くて稚拙な記事だけでは伝えられなかったことも沢山書かれてあります。
是非とも一読を進めたい一冊です。