2月17~18日のラップ中心の回顧 「東京芝1600mと東京ダート1600mのラップの類似性について」

東京芝は高速馬場の水準。内枠先行有利も継続していましたが、先週よりも更に先行有利になったように思います。人気の差し馬が飛ぶ場面が目立ちました。
東京ダートは時計が掛かっていてタフ。今開催は総じて時計が掛かっていました。良馬場の東京ダートらしく、先行馬有利になっていました。
京都芝は先週時点で、ある程度時計が出るようになっていましたが、今週はDコース替わりで更に時計が出ていました。とはいえ、高速馬場ではありません。外枠差し馬が有利。
京都ダートはやや重スタートで、日曜後半に良馬場まで回復。内外はフラット。先行有利が強く出ていましたが、良まで回復した日曜後半は差しも届くように。時計は出ていました。
小倉芝が不可解で、時計が出るようになり、内枠先行馬が有利になっていました。含水率が下がり、クッション値が上がっていたので、事前に読めたかもしれません。反省。ラチ沿いを通した馬が穴をあけていました。
小倉ダートは含水率が低く、時計は掛かっていました。差しも届く、比較的フェアな馬場でした。

東京芝の注目レース

・2月18日(日) 東京4R 3歳未勝利
L2が11.3-11.0の加速&余力ラップに。先週の共同通信杯はL2が10.9-10.8で、流石に重賞には及ばないものの、このレースもハイレベルです。
勝ったベストミーエヴァーは+14キロでパワーアップ。新馬戦から仕上げてこない国枝厩舎の3戦目で、1戦毎に良くなっています。
2着マイネルオーシャンはこの上がりに対応できたのは収穫。共同通信杯3着のパワーホールと同タイムで走っています。前走は厳しいペースを前で粘っており、次走はほぼほぼ勝てるのでは。
3着デュアルウィルダーは、未勝利デビューでもきちんと走らせてくる堀厩舎。道中ずるずる位置を下げた上に外々を回る厳しい展開での好走。5着トゥルーサクセサーが外差し競馬で末脚不発に終わったことを考えれば、相当強いのでは。

東京ダートの注目レース

・2月18日(日) 東京9R ヒヤシンスS

東京芝1600mの平均ラップ
12.52-11.23-11.83-12.07-12.12-11.40-11.36-11.71

東京ダート1600mの平均ラップ
12.36-11.15-11.89-12.39-12.57-12.33-12.20-12.62

注目していただきたいのが、4.5F目。
ここで緩んでから、直線で再加速していると分かるかと思います。4.5F目がいわゆる中緩み区間になっている訳です。
基本的には4.5F目で緩むため、コーナー部で外を回す負荷は少なく、むしろ、自在に動ける外枠の優位性が高まります。そのため、東京芝1600mも東京ダート1600mも外有利のバイアスが強固です。

よく東京ダート1600mは芝の部分を長く走れるから外枠有利と聞きますが、それよりもラップ構成の方が外枠有利を作っている割合が高いと考えています。
8枠の複勝率が24.3%なのに対して、1枠の複勝率は15.6%。9%近い差がありますが、ここまで大きな差が出る芝スタートのダートコースは阪神ダート1400mだけ。
他のコースはここまで差は出ません(福島ダート1150m、新潟ダート1200m、中山ダート1200m、京都ダート1400m、中京ダート1400m、阪神ダート2000m)。
阪神ダートは3.4コーナーから残り200mまで下り坂のため、内枠だと加速遅れが響くのでしょう、どの距離でも外枠有利が強くなっています。外からスムーズに加速できた馬が有利なのだと思われます。

芝スタートの優位性は過剰評価されていると考えています。

では、4.5F目で緩まなければどうなのかと言えば、芝・ダート共に内の優位性が高まります。
今年のフェブラリーSは2F目最速の減速ラップになり、内有利が強め。昨年の武蔵野Sも同様です。
中緩みが小さくなりやすいダートのオープン以上では総じて、外の優位性が低くなっています。

芝においても、中緩みが大きくなりやすい下級条件では外枠有利がはっきりと出ていますが、オープンクラス以上になると外枠の優位性が低くなります。
(ただし、外枠有利には変わりありません。これは近年、外枠有利の馬場になっていることが影響しているものだと思われます。2018年以前だと内有利の水準になっていました)

パトロールビデオと併せて見てみると、よく分かるかと思います。
コーナーでの速度に注意して回顧してみては如何でしょうか。

ヒヤシンスSについて。
勝ち時計の1.36.3はフェブラリーSに入っても6着相当。800m通過46.7秒とペースが流れた中で、L4が49.6秒の余力ラップは優秀。
勝ったラムジェットは相当に強い。オキザリス賞はインでどん詰まりでした。世代限定ダートはペースが流れやすいので、差せる脚を持っているのは魅力。全兄インザビギニングは1800mで走れているので、中距離路線でも面白そう。
2着アンクエンチャブルはハイペースを先行して2着。強い競馬。ルメール騎手が抜け出してから遊んでいたと述べており、こちらも強い。

京都芝の注目レース

・2月17日(土) 京都9R つばき賞
L5が58.1秒、L4が45.4秒の余力ラップ戦。
勝ったメイショウタバルは、重馬場で余力ラップになったオールナット戦で4着だった馬。この新馬戦はプレリュードシチー、ジャスティンアース、ウォーターリヒトが出ており、やはりレベルが高い。道中でマクられて、終いはキープカルムに並ばれるともうひと伸び。速い上がりは使えないタイプでしょうが、先行してしぶとさを活かす競馬で今後も期待できます。
3着サブマリーナの上がり33.0秒は次点に0.6秒差を付けるダントツの数字。こちらも相当に強い。

京都ダートの注目レース

・2月17日(土) 京都4R 3歳新馬
L2が13.0-12.1秒。L1基準クリアの余力ラップ戦。
勝ったミッキークレストは終い11秒台をマークしており、終いは手綱を緩める余裕がありました。ミッキー軍団はミッキーファイトが1勝クラスを超好時計で勝っており、ダート3冠路線で旋風を巻き起こすかもしれません。間に合えば。

小倉芝の注目レース

・2月18日(日) 小倉8R 4歳以上1勝クラス
1000m通過が62.3秒と緩んだとはいえ、L5の58.8秒は速い水準で、L2は11.9-11.6の加速ラップに。
内目が回復していたので、外を回した馬は間に合いませんでした。4着ルソルティールは内を空ける必要はありませんでした。5着キュンストラーは外から差してきており、どちらも評価を落とすような負け方ではありません。
2着ピクシレーションも1勝クラスでは上の力を持っているので、引き続き注目します。
3着ビヨンドザリミットは上手く乗ったとはいえ、これなら1勝クラスで通用しそう。次走も人気になりそうもなく、穴で注目。

小倉ダートの注目レース

・ありません。

重賞

・京都牝馬S
3F通過34.5秒は緩みやすいコース形態を考えればハイペース。1.20.3も馬場を考えれば上々です。
勝ったソーダズリングは3勝クラスの六年坂SでL4・45.0秒をマークしており、距離短縮で一気にパフォーマンスを上げたと考えていました。前走のターコイズSは前有利で、差し届かずの競馬。ナムラクレアに並ばれてからもうひと伸びしており、短い距離なら相当な器でしょう。
私の本命スマートリアンは悔しい4着。やや力み気味で、鞍上が折り合いを気にしたのか、内で馬の後ろに入れる競馬に。結果的にもう少しロスを覚悟で外目を回していれば……という内容。ずっと不利な枠だったり、前残りの展開になったり、恵まれない競馬が続いていました。外差し不利だった北九州記念の4着が強い内容で、まともならこのくらいやれて良い馬。

・ダイヤモンドS
例年、後半5Fのロンスパ戦になるレースですが、今年は3F戦に。1000m通過が61.2秒と速くなりましたが、その後の1000mは64.6秒と緩みました。以前に書いた「アップダウンの激しいラップ」で、この手のラップは基本的に先行馬がバテやすく差し有利。
勝ったテーオーロイヤルは33.7秒でまとめました。ステイヤーズSでも上がり33.9秒を使っており、長期休養明けを挟んで更にパワーアップしているように思います。58.5キロのトップハンデを背負ってサリエラを差し切ったのだから優秀。
私の本命トロピカルライトは終いにバテて内にヨレました。とはいえ、上がり33.9秒は過去最速。決め手に欠けて勝ち切れない印象を抱いていましたが、この速い上がりを使えたのは収穫。2勝クラスでは人気になるでしょうが、すぐ勝ち上がれるのではないでしょうか。

・小倉大賞典
テンの遅い逃げ馬セルバーグが1000m通過57.2秒で逃げました。1.45.1が出るとは驚き。
勝ったエピファニーは低速馬場は向かないだろうと考えて軽視しましたが、この時計が出る馬場なら勝てて当然の馬。今回も折り合い面は怪しかったですが、杉原騎手が馬の後ろにいれて上手く乗りました。
ロングランは前走でダントツの上がりを使っており、力を付けてきたように思います。
セルバーグは1600m通過が1.32.6。すんなりなら力があることを示しました。マイルでは簡単に逃げられないのが難しいところですが、自分の競馬ができればやはり強い!

・フェブラリーS
 3F通過33.9秒は超ハイペース。ここまで速いと追走した組は厳しい。
 2F目最速でどんどんと減速していくラップだと内を通した馬が恵まれやすく、2.3.4.6.7着は内を通した馬でした。
外目を通しながら勝ったペプチドナイルはハイペース耐性が高い馬で、1700mまでなら飛ばしても止まらないはず。今後も期待できます。
 5着キングズソードはコーナーで外を回しながら差してきており、残り300m付近で前が狭くなりました。非常に強い競馬をしています。