「大逃げの2番手は恵まれる」

先日のジャパンカップは予想通り、パンサラッサの大逃げで盛り上がりました。大逃げがあると困るのがラップ。
ジャパンカップのレースラップは以下の通りです。

12.7-11.3-11.5-11.0-11.1-11.5-12.0-12.1-12.1-12.4-12.4-11.7(前半57.6秒・後半60.7秒)

果たして後続のペースはどうだったのでしょう?
ストップウォッチで測るという方法もありますが、そこまでしなくともある程度分かります。
「上位馬の上がりタイムを確認する」のです。
今回に関しては上がり最速のイクイノックスが33.5秒。2位がドウデュースで33.7秒。3位タイがダノンベルーガとヴェラアズールの33.8秒。
5頭が33秒台を使っていることからスローだったと推測できる訳です。
「上がり差が小さい」ことも重要です。
タイトルホルダーを除く上位8着までは33.5秒~34.2秒に収まっています。タフなレースになっていれば、上がり差はもっと出るものでしょう。

三冠馬3頭の対決で盛り上がった2020年ジャパンカップはキセキの大逃げでレースラップが分かりにくくなりました。
上がり最速がコントレイルの34.3秒で、2位がデアリングタクトの34.4秒。次が34.7秒のアーモンドアイとミッキースワロー。4着カレンブーケドールが34.8秒で、残りは35秒以上かかっていました。後続もハイペースだったと想像できる訳です。

私は今回のジャパンカップを「33秒台の上がりは不要になる」と予想したため、後続スローになった時点で外れでした。
にしても、タイトルホルダーは上がり35.0秒とかかっていたので、やはり東京が向かなかったり、体調が戻っていなかったりするのかもしれません。また、タイトルホルダーが3番手以下を離せなかったこと、イクイノックスが3番手に付けたことも厳しかったと言えます。

さて、「大逃げの2番手は恵まれる」という話ですが、まずは大逃げの定義を確認してみます。
TARGETでは、競馬新聞などの「=」マークが付いている場合を大逃げと定義しているそうです。これは「間隔が5馬身以上の差」を示しています。
TARGETも競馬新聞も、記号を上手く利用しているんだなと感心させられました。

続いて、「通常の2番手は恵まれるのか? また大逃げや逃げはどのくらい恵まれるのか?」という問いにも応えなければなりません。
ダートで大逃げは滅多に見られないので除外します。障害は大逃げ率が高くなるのでこちらも除外します。

全レース
2020~2022年・芝・初角1番手 勝率16.9%・複勝率37.1% 単回230%・複回134%
2020~2022年・芝・初角2番手 勝率11.0%・複勝率30.3% 単回97%・複回90%

大逃げ馬がいたレース
2020~2022年・芝・初角1番手 勝率22.8%・複勝率33.7% 単回662% 複回214%
2020~2022年・芝・初角2番手 勝率13.5%・複勝率36.5% 単回257% 複回134%

逃げ馬が1番恵まれるというのは、大逃げにも当てはまるようです。
複勝率こそ下がるものの、勝率は大幅にアップ!
2番手の馬は、大逃げ関係なく恵まれるようですが、やはり大逃げの2番手の方が成績を向上させています。
大逃げの2番手は、通常の逃げの成績にかなり近づいてきている水準です。
「大逃げの2番手は恵まれる」というのは、間違ってはいないでしょう。

では、もう少し「大逃げの2番手」が恵まれやすい条件を絞ってみましょう。サンプルを多く取るため、集計年数を増やして検索をかけました。

1:1800m以上!
マイル以下は大逃げ自体しづらいですが、中距離以上のレースでこそ、2番手からペースを支配できる優位性が現れるのだと思います。好走率・回収率ともにアップ!

2;関東圏のレースでは「大逃げ2番手」がハマりやすく、関西圏のレースでは「大逃げ」がハマりやすい!
コースなど複合的な要因が関わっていると思いますが、ジョッキーが大きいのでは、と推測しています。
基本的にリーディング順通り、関西圏のジョッキーの方が上手く、関東圏のジョッキーの方が実力的に劣ると考えています。
関西圏のジョッキーが大逃げをするからにはハマる。
関東圏のジョッキーが大逃げをしてもハマらない、2番手が恵まれる、ということかもしれません。
関東圏の中長距離戦は大逃げなのにスロー、ということも少なくないと感じています。

最後に、現役馬で今後も注意すべき大逃げ経験馬の一覧表を載せてみます。
大逃げで勝つとクラスが上がり、通用しなくなりがちです。今後厳しいだろう馬は除外。
以下の馬が出てきた時、2番手を追走できるだろう馬を狙うのも良い作戦かと思います。2番手まで読むのはなかなか難しいですけどね。

1.サンライズロナウド:2勝クラスであっと驚く大逃げでの勝利。2000mでマイルのラップを刻み、残り2Fはバテながらも残しました。3勝クラスでも離し逃げで3着があります。ハイペース耐性が高く、2000mなら東京芝2000mの内枠が良さそう。
2.セルバーグ:とにかくテンの遅い逃げ馬ですが、ハマればG1でもやれると思っています。同型不在の時は要注意。
3.セットアップ:札幌2歳S覇者。切れ味で劣るので、今後も離し逃げをしてきそう。世代限定戦の中距離戦はペースが緩みやすいので、今後もハマるレースが出てきそう。
4.セッタレダスト:ハイペースで逃げる1400~1600mまでの馬。オープン入りしたので今後は厳しい戦いになるかもしれませんが、行く馬がいないだろう時は注意。
5.コスモスプモーニ:3歳で2勝クラス在籍。速い上がりは使えないので今後も逃げ先行競馬をしてくるはず。マイルも案外、逃げ・先行馬の少ないレースが多いので、楽に逃げられそうな時は警戒。
6.アランヴェリテ:極端な競馬をする馬ばかり産むルミエールヴェリテ産駒。芝中距離が良さそうで、1勝クラスはどこかで逃げ切りそうです。
7.プリマヴィータ:阪神芝2200mを超ハイペースの大逃げで逃げ切った馬。2勝クラスでも東京芝2500mで大逃げの4着があります。東京2400mの大逃げなら残せてもおかしくなさそう。
8.テーオーシリウス:オープンでは大逃げはできていませんが、行くしかない馬なのでどこかでまた大逃げが見られそう。