「適性予想」について。

「適性予想」とは?

競走馬を「瞬発戦型」「持続戦型」の2種類に分けて、今回、どちらのタイプが来るのかを考えて予想することを指して「適性予想」と呼んでいます。

「瞬発戦型」:速い上がりを使えるタイプ・加速力に秀でているタイプ
「持続戦型」:長い脚を使えるタイプ・タフなレースで強いタイプ

どちらもこなせるタイプもいます。
ラップが判断材料になりますが、レース上がりを見て判断するのがお手軽です。
コースにも依りますが、レース上がりが35秒台後半~であれば、持続力を要求されるレースだったと判断できます。
別に2種類である必然性はありません。
より細かく分けている予想家さんもいます。

1:「レース傾向」から考える

たとえば、マイル王を決める安田記念とマイルチャンピオンシップは求められる適性が異なります。
安田記念はハイペースで流れやすいので、脚を持続する力が要求されやすい。
マイルチャンピオンシップはスローペースで流れやすいので、速い上がりが要求されやすい。
そのため、連覇が難しくなっています。
京都芝1600mは3F目に上り坂を通過するというコース形態がスローを招きやすい要因なので、この傾向は変わらないでしょう。
「上り坂を通過すると、スタミナを消費してタフになるのでは?」と思うかもしれませんが、実際はそうしたことはなく、ペースの方が重要です。

今年の朝日杯は面白いメンバー構成になりました。
人気馬に「瞬発戦型」が少なかったのです。
結果は、土曜の雨や直線の強い向かい風が影響したのでしょう、レース上がりが35.4秒とかかりました。阪神JFが34.4秒だったので、朝日杯の方がタフだったと言えるでしょう。
「持続戦型」が来やすいレースになり、33秒台の上がりを持っていないジャンタルマンタルが内をロスなく回り、直線は馬場の良い外に持ち出して勝利。2着エコロヴァルツも、札幌のタフな馬場で好走していました。
3着のタガノエルピーダに関しては、新馬戦で33.5秒の上がりを使った通り、瞬発力に秀でた馬ですが、この新馬戦はラスト5Fが57.9秒、ラスト4Fが45.5秒とかなり速くなりました。後半の4.5Fまで速いのは持続力にも秀でている証拠。
「余力ラップ」では、L4・L5が速いのは瞬発力・持続力、ともに秀でているという理由でL2・L1の速さよりも重視しています。

2:「血統」から考える!

朝日杯に「持続戦型」が多かったのは、瞬発力を武器にするディープインパクト産駒がいなくなったことも影響していたように思います。
種牡馬からどちらのタイプが予想するのも有効です。
ダイワメジャーやキズナは持続戦型を多く出します。
キズナ産駒の中でも、牡馬は持続戦型寄りになりやすくなっています。
これはキズナ産駒に限った話ではなく、牝馬の方が素軽い瞬発力を武器にする馬が多い傾向にあります。
今は持続戦型の種牡馬が増えてきたように感じていますが、今後はスワーヴリチャードが瞬発戦型の馬を多く出してくるのではないでしょうか。

3:「クラス」から考える!

上級条件の方が「適性予想」の有効性が高まると感じています。
競走馬は適性のある条件で勝ち上がり、苦手条件で負けやすいため、上のクラスに行けば行くほど適性が細分化されやすいと言えるでしょう。
たとえば、モズベッロは道悪ではG1でも勝負になる馬ですが、高速馬場の瞬発戦ではおそらく3勝クラスを勝ち上がれないのではないでしょうか。

4:「馬齢」から考える!

スピードは先天的な要素が高く、スタミナや持続力は後天的に鍛えられる、と聞きます。
実際、若駒の時に瞬発力を武器にしていた馬も、年と共に持続力の高さが武器になる馬は少なくないように感じています。
ジェラルディーナは4歳春までは33秒台の上がりを連発していましたが、それ以降、一度も33秒台をマークしていません。
ディープインパクト産駒の瞬発戦型は古馬になって衰えやすい。
マカヒキが8歳になって京都大賞典を勝てたのは、11秒台前半を一度も踏まないレースラップだったからだと考えています。対して、アルアインのように元から持続力が武器の馬は長持ちしやすい傾向にありました。

5:「厩舎」から考える!

厩舎も少なからず影響しているはずです。
矢作厩舎は後天的に鍛えられる持続力を武器にする馬が、中内田厩舎は瞬発力を武器にする馬が目立ちます。
また、近年は厩舎側も馬の適性を重視してローテーションを組んでくることが増えているように感じます。
ステイフーリッシュは古馬になってからは国内G1を3度しか使っていないのですが、いずれも阪神内回りの大阪杯と宝塚記念でした。

その他:上がりだけでは分からない!

新潟芝1000mはダート馬が来やすいコース。
これは上がりこそ速いですが、究極のスピード勝負になるとむしろ脚を持続するのが大変で、持続力の高さが求められるからでしょう。人間も全力疾走すると100mを維持させられませんが、ある閾値を超えると急速にバテるので持続力が重要になる、ということだと考えています。
新潟外回りや夏の超高速馬場の小倉芝は、時計が出すぎるが故に持続戦型が有利になることが少なくありません。