「余力ラップは、ラップタイムからその馬の余力を読み取り、過小評価されている強い馬を狙う手法。2〜3歳戦において、設定した基準ラップ(※)をクリアしている馬を狙うのが基本となる。基準ラップをクリアした馬に、①レース映像チェック、②今走条件での枠順および脚質の有利不利チェックを行うことで、精度の高い狙い馬を抽出することが可能。基準タイムをクリアした余力ラップ該当馬は1Fまでの距離延長を苦にしないので、期待値派からはマイナス評価される距離延長馬を狙えるのは「余力ラップ」の強みの一つ」
※L5~L1の「L」は「ラスト」のLです。馴染みのない表現なので戸惑ったかもしれません。
的中例の予想文:
①7/2(日)ラジオNIKKEI賞 芝1800m
堅軸馬 14.レーベンスティール
推奨馬 6.エルトンバローズ 7.シルトホルン
最後は重賞で締めくくりたいと思います!ここは余力ラップ該当馬(余力ラップ戦の勝ち馬・僅差負けの馬、個別ラップを見ていくと余力ラップに該当する馬)が大半を占めているレース。クラスが上がるほど該当馬の出現割合が高まることが、余力ラップの理論的な正しさを証明しています。複数該当馬がいる場合は、L5・L4基準>L2・L1基準と考えるのが基本線。サラブレッドが全力疾走できる距離は300-400mだそうですが、L5・L4を速く走れるということは高い瞬発力に加えて、高い持続力も兼ね備えていると言える訳です。
展開。2番枠を引いたグラニットが主張して逃げるはずですが、この馬は余力ラップ該当馬ではなく速い上がりも使えない馬。この馬の後ろから速い上がりでまとめられる馬を狙います。
14.レーベンスティールの新馬戦は、皐月賞馬ソールオリエンスよりも速い上がりを使ってのタイム差なし2着で、L5・L4・L2・L1基準をクリア。ただクリアしているだけでなく、L2は11.0-11.0と、極限に近い持続ラップを刻んでいます。前走はL2が10.8-10.9と新馬戦を上回るラップを刻みました。調べてみたところ、L2の21.7秒はなんと東京芝1800mで歴代最速の記録!2着に5馬身差を付けたことも高く評価できます。
二の脚が速くてスッと好位に付けられる点も強調材料。現時点で文句のつけようのない馬です。
2走前、セオに負けた時のような極端な道悪になった時には一抹の不安も残りますが、日曜の福島は良馬場まで回復するはずなので何も言うことはありません。不利な外枠や56キロのハンデをモノともせずに勝ってくれることを期待します。
14.レーベンスティールの相手にはL5・L4基準をクリアしている2頭を抜てき。6.エルトンバローズはマイルに距離短縮して連勝してきている馬ですが、前走のパフォーマンスだけ見れば、1800mでも期待したくなります。
前走のL5は58.0秒、L4は45.5秒で、いずれも基準クリア。直線平坦の京都ではありましたが、L1を11.2秒でまとめて勝利した今なら1800mも問題はなさそう。
7.シルトホルンもマイルに短縮して好走した馬ですが、エルトンバローズ同様、前走のパフォーマンスを見れば1800mでも。前走のL5は57.3秒、L4は45.2秒と、いずれの基準もクリア。ここまで大幅に基準をクリアできることは滅多にありません。L1も11.3秒でクリアしているので今なら1800mも問題にしないだろうと見ます。東京でパフォーマンスを上げてくる馬だけに、福島に替わる点だけが不安。
②6/25(日)阪神6R 3歳以上1勝クラス ダ1800m
推奨馬 10.ノボリクレバー
ノボリクレバーは前走で一変。かなり時計の出る馬場だったとはいえ、1000m通過61.5秒で、L4が49.6秒、L1が12.3秒なら余力十分。しかも、2着馬グラングストがマクってきたことによって5F目に11.9秒と速いラップを刻んでいます。負荷の大きいレースになったにもかかわらず、余力あるラップで勝てたのは成長の証。3馬身離した2着グラングストは、次走で3着馬に10馬身差を付けての勝ち上がりと、相手も強い馬でした。今回は約3ヶ月ぶりになりますが、十分な本数を乗り込んでいるので問題ないでしょう。成長期の休み明けは基本的にプラスに働きます。休んでいる間に更にパワーアップしている可能性が高いのです。前走に引き続き52キロで牝馬限定戦なら勝負圏内。さほど人気にならないようですが、前走のパフォーマンスこそがこの馬本来のものと考えれば他と差はないでしょう。
相手中心に2頭。1頭目は3.ウィングヘヴン。新馬戦はタフなダートでL2を12.5-12.5でまとめています。長期休養明けの前走は大きく出遅れ。最後は凄まじい脚で追い込んできたように映りますが、L1が13.8秒と前の馬が止まってくれたからこそ、鬼脚に見えた側面もあります。圧倒的な人気が予想されますが、前走は相手が弱かったのも事実。内枠も不利なコースなので、強いのは確かでも多少疑ってかかります。
2頭目は9.スカンジナビア。ここ4走は全てL4・49秒台のハイレベル戦ばかりですが、ハイペースの厳しいペースになっても逃げて止まっていません。これなら1800mに伸びても問題はなさそう。
押さえに、前走2着と現級で通用の力を見せた50キロの5.レッツゴーローズ。
中央再転入の前走が好内容の4着だった11.フェルンマンボまで。
③6/24 東京12R 芝1600m
推奨馬 11.キタノブライド
東京芝は先週、クッション値が上がり、内枠有利に傾きました。金曜の時点でクッション値が9.5と先週と同水準。先週と同じ馬場と予想します。ただし、東京芝1600mは元々が外枠有利なので、12Rに関しては枠順フラットと見ます。
推奨馬のキタノブライドは新馬戦のL2が22.5秒と速く、前が止まらない中、素質馬のテンペストと一緒に差してきて0.2秒差の4着。かなり高く評価できる内容でした。2戦目は上がり最速の33.3秒を使うものの、出遅れが響いてクビ差届かずの2着。勝ち馬も余力ラップ該当馬だったので悲観する内容ではありません。
3戦目はスタートを決めて中団からの競馬になり、順当勝ち。昇級戦は7着に敗れましたが、1.32.9で走破しているなら十分に強い7着。これはこのメンバーで持ち時計2位に当たります。前走に関しては1800mという距離が敗因でしょう。陣営も距離だと述べています。
追走力にやや難のある馬ですが、ここは先行馬が揃ったのでペースは流れてくれるはず。前走の敗退で人気落ちしてくれるのはありがたいところです。終いはしっかり脚を使って馬券内まで届いてくれるでしょう。
相手中心に3頭。新馬戦でキタノブライドを破って勝利を収めた2.ランプシー。古馬ですが、L4・46.0秒前後のハイレベル戦で好走している13.ドラミモン。新馬戦のL1が11.4秒と速くなった中、上がり最速で4着と好走した16.ホイッスルソング。自身は余力ラップに該当しているはずなので距離延長も問題ないと見ます。
④6/11(日)阪神12R 芝1400m
推奨馬 3.マチカゼ
阪神芝1400mは内枠先行有利なコースになっています。阪神芝は湿ると上がり差が出なくなり、先行有利に拍車がかかります(ただし、あまりに雨が降って内が悪化すると外差しにシフトするので注意が必要)。ここはセオリー通りに内枠の先行馬のマチカゼから狙います。
マチカゼは、新馬戦のL2が「11.0-11.0」と極限の持続ラップになりました。0.3秒差の負けでも高く評価できます。前走は不利な外枠から先行。L2は「11.3-11.2」と、加速ラップで余力ラップにも該当。陣営によれば「立ち回りが上手」とのこと。前走で外枠からすんなり先行できたのも、その立ち回りの上手さ故に、でしょう。
前走の時計だけで十分勝負になる水準だというのに、距離短縮に余力ラップと、さらなる上積み要素が満載です。ここは迷うことなく本命といたします。
単勝だけで良さそうですが、念のための保険もかけます。余力ラップ該当馬が揃ったハイレベル戦・エルフィンステークスで8着の6.マルクパージュ。この馬は1400mの方が良いタイプです。
前走は出遅れにスローペースと、差せない条件が揃いましたが、上がり最速を使ってタイム差なしの3着。非常に強い競馬でした。
⑤6月10日(土) 東京10R 芦ノ湖特別 芝1600m
推奨馬 10.ミカッテヨンデイイ
ミカッテヨンデイイのフェニックス賞は、前半が33.8秒とまずまず流れたにもかかわらず、L2が「11.2-11.5」と余力ラップに該当。終いの失速幅が大きくなりやすい小倉芝1200mでL2を22.7秒でまとめられるなら、まだ余力を残しています。その後は折り合いを欠くようになり、惨敗を繰り返していましたが、今では気性面も成長しています。クイーンカップの走破時計1.33.8は数字だけ見ると2勝クラスでは物足りなく映りますが、2月の東京開催は少し時計のかかる馬場でした。それを考えれば、及第点だと言えます。不良馬場のフラワーカップは度外視。
スイートピーステークスはスローからの瞬発戦になりましたが、ラスト2Fが「11.1-11.3」と余力ラップになりました。ミカッテヨンデイイは0.3秒差でしたが、1800mは「気持ち距離が長い」と陣営が述べています。今回は1F短縮に加えて、有利な外枠に入りました。差せる脚も持っています。
東京芝1600mは、前半3Fが速いペースになる→中盤2Fでペースが緩む→後半3Fの速度比べ、というラップ構造になりやすくなっています。前半速くなる、中盤緩む、後半速くなる、というじぐざぐしたラップは先行馬にとって負荷が大きくなります(馬は一定のペースで走ると負荷が少なくなります)。そのため、差し馬が有利になりやすくなります。また、外枠は、ストレスフリーで追い続けられるメリットを享受できます。内枠の馬は馬群をさばく手間がかかる分、追い続けられない可能性が高くなるのです。
相手筆頭は東京マイルで1分32秒台を持っている4.ヴルカーノと6.ニシノライコウ。
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