「前走・地方戦の馬の取扱説明書」

※本コラムを書くにあたって「ブログの本命・穴」の中で「前走・地方」の馬の成績を調べてみました(2021年頭~本日まで)。前走交流重賞も混じっていますが、これはあまり意味がないので抜きました。するとなんと単勝回収率397%・複勝回収率203%!計38頭に印を打ち、勝率18.4%・連対率26.3%・複勝率39.5%。私の単純な方法でも有用だと判明して何よりです。以下からが本文になります。

SNS時代の到来によって多くの有効なファクターが知られるようになりましたが、「前走・地方」はまだ過小評価されているファクターの1つでしょう。前走で地方のレースを使っているというだけで人気が落ちているように思うのです。「地方のレースはレベルが低い」という先入観がいまだに強いのかもしれません。もちろん、しっかり評価されている馬もいます。中央未勝利で門別へ移籍していたドリームビリーバーという馬は、中央再転入初戦から6戦全てで1番人気に推されていて、結果も残しています。

芝とダートでは考え方が少し異なるので、まずはダートから考えていきます。

「前走・地方戦」には2パターン存在します。
1:中央再転入初戦
2:前走が中央交流戦
です。個人的にはあまり区別する必要はなく、地方でどういう結果を残してきたかが重要だと考えています。その「結果」の判断の方法ですが、私は単純に「スピード指数」を重要視しています。もっといえば「netkeibaのタイム指数」です。有料サービスのためコラムにすべきか少し考えましたが、無料の代替サービスもあるようなので扱うことにしました。「吉馬」というサイトでは、バックナンバー機能で過去の指数も見られるようです(スマホからリンクを貼るとエラーになるので「吉馬」でググってみてください)。本コラムで扱うnetkeibaのタイム指数は「月額550円(税込)」のプレミアムサービスから閲覧できます。

スピード指数は、1975年、アメリカの競馬評論家のアンドリュー・ベイヤー氏が提唱したものが元祖だといわれています。日本では1992年、西田和彦氏が「西田式スピード指数」を提唱。広く受け入れられました。古いファクターだと感じるかもしれませんが、様々な新聞社や予想家が改良して発表しています。古いというよりは、予想の下敷きになっていると言えるでしょう。

スピード指数は「全ての馬が同じ馬場状態の同じコースを同じ負担重量で走ったと仮定して、そのタイム(=スピード指数)を比較する」もので、同じ指数なら同じ強さだと理屈では言えるのですが、そう上手くはいきません。
netkeibaのタイム指数は、中央1勝クラスでは80台後半で通用する水準だと私は考えています。ですが、地方のレースになると低く出てしまうのです。おおよその目安として、地方はマイナス20ちょっとになるとお考えください。浦和は高く出やすく、高知・佐賀は低く出やすくなっています。ここまでご理解いただければ、地方戦を使った馬が中央で通用するかしないか、おおよそ分かるはずです。

具体例として、2022年6月18日に勝ったブラッティーキッド(現オープン)、翌19日に勝ったキュールエフウジン(現3勝クラス)を挙げます。具体的な数字は規約に反するので掲載できませんが、どこを見るべきなのか画像添付しておきました。ご参照ください。2頭とも1勝クラスを突破できる力があるにもかかわらず、単勝10倍以上で勝ってくれたのです。地方戦が入ることで、オッズの歪みが生じやすくなるのだと言えるでしょう。

続いては芝について。芝馬の場合、地方戦の指数は完全に無視して構いません。ダートと被る点もありますが、主に見るべきポイントは、

1:再転入前に芝でどの程度の指数で走っていたのか。
2:テンのスピード。私はスマート出馬表のテン1Fの速度を眺めて判断しています。
3:移籍時期。大抵は3歳未勝利を勝てなくて移籍します。地方で成長期を過ごしてより強くなっている可能性が高いと言えます。
4;厩舎コメントに関してはあまり気にしなくて良いです。前所属厩舎の顔を立てるためなのか、弱気な発言が多くなりやすいと感じています。これは転厩初戦のコメントも同様です。
5:今走の枠順や展開。当然、有利と判断できる枠や脚質であれば高く評価できます。

辺りでしょうか。8/12(土)小倉12Rで穴をあけてくれたダイヤモンドフジを例に、上の5ポイントを検証してみましょう。

1:私は「Victory Road」というブログ(https://ittai.net/)から、中央のスピード指数の無料データを取得してTARGETに入れています。netkeibaでも通用する水準のタイム指数で走っていると確認できました。
2:テンの1Fの速度も、スマート出馬表を見ると12秒台前半で走っていたので、ここでも位置は取れるだろうと予想できました。
3:ダートが苦手のようで、園田でなかなか勝てませんでしたが、当時よりも成長しているだろう時期でした。
4:厩舎コメントは「以前とそう変わった感じはありませんが、状態はいいですよ。中央の1勝クラスでどれだけやれるか見てみたいですね」と強気でも弱気でもありませんでした。
5:開幕週の小倉で絶好枠とも言える1番枠。「内枠先行有利」と考えていました。メンバーも、強い3歳馬が少なくて狙い目でした。

地方に所属する弱点としては、大半で坂路が使えなくなることでしょう。かつて大井に移籍したサウンドトゥルーは、南関の重賞でも馬券から飛ぶようになりましたが、おそらくは美浦の坂路を使えなくなった影響が大きいのではないかと推測しています。ダイヤモンドフジも坂路で追えていなかったと推測していますが、今回、中間追い切りでは坂路で自己ベストを更新していました。

プロティオスミノルに関しては前走・地方での爆走ではありませんが、長くなりすぎるので今回省略します。ご質問等あれば答えたいと思います。