「3歳未勝利のラストチャンスにビッグチャンス」

 ラストチャンスの3歳未勝利戦は、全馬が勝ちにいくため、ハイペースになりやすいと聞いていて、確かにその通りの傾向になっていました。しかし、荒れやすさについては聞いておらず、今年は特別荒れて「自分のロジックでは的中できない!」と諦めてしまうほどでした。そんなに違うのでしょうか?

 まずは9月の3歳未勝利(例年、9月の3歳未勝利はラストウィークのみ)の平均配当と、1-8月の3歳未勝利の平均配当を見比べてみてください。複勝と枠連以外はダブルスコアになっていると分かるかと思います。平均値はアテにならないと考える方がいるかもしれません。年別の単複の回収率を見れば、荒れ方の凄さが違った視点から分かるかと思います。2021年だけは単勝回収率が100%に到達していませんが、それ以外の年は万馬券が1本ずつ出ていて、出走馬全馬の単勝ベタ買いでプラスになっています。2021年は複勝回収率が高くなっているので、連系で大きく荒れたのだと推測できます(添付画像1枚目が平均配当の比較・2枚目が年別の回収率になっています)。

 では何故荒れるのでしょうか。単勝オッズ20倍以上で馬券に絡んだ57頭のプロフィールや出走レースを調べてみました。なお、2023年の日曜・新潟4Rの単勝328倍で勝利したケイツークローンは、先週のブリンカーに関するコラムでご質問いただいた「初ブリンカー&芝の内枠&減量騎手&距離延長」という条件に当てはまっていました。ご質問を寄せてくれた、あつさん、競馬好きおにぎりさん、ひらしさん、どうもありがとうございました。

 人気薄が来る要因は主に、
①展開:いつも後方の馬が、ラストウィーク特有のハイペースになってハマる。追走力のない馬が促して先行して粘り込む等。
②状態:休み明けや大幅馬体増で強くなった。陣営が意図的に仕上げてきた等。
③馬具:ブリンカー着用等。
④騎手:減量騎手の初起用で成功する等。
⑤相手関係:未勝利戦で通用する実力は持っているが、ラストウィークに強い馬が集まって相対的に人気落ちする等。
⑥大幅条件替わり:今まで使ってきていなかった距離を使って一変。初芝・初ダートを使って一変する等。

 調べて目立ったところは以上です。もちろん、これらは平時にも見受けられますが、ラストチャンスだから出来ることは試したいという意図も、大きく反映されているはずです。

 対して人気馬はどうでしょう? なかなか面白い結果が出ました。まず、1番人気の成績は勝率32.9%、連対率53.2%、複勝率62.0%で、単勝回収率・複勝回収率はともに91%と優秀です。連闘成績も悪くないどころか、非常に優秀です。1番人気の連闘成績は勝率32.0%、連対率72.0%、複勝率84.0%で、単勝回収率は90%、複勝回収率は130%もあります。10週以上の休み明けに至っては、8頭いて4頭が勝ち上がりました。1番人気の馬は、普通に回ってくれば勝てるという気楽さが、プレッシャーを上回っているのかもしれません。

 成績が悪いのは2~4番人気です。勝つためにはより強い馬を倒さなければならないということで、最もプレッシャーのかかるゾーンなのだと思われます。2番人気の勝率は12.7%、3番人気は7.6%、4番人気はわずか3.8%しかありませんでした。複勝率や回収率も軒並み悪く、やはりラストチャンスの影響が出ているように思います。今年、騎乗方法に悪い影響が出たと感じたのが、土曜4Rで2番人気だったコパノサントスです。いつも早めに好位に取り付く馬ですが、今回は3コーナー手前でハナに立つ積極策。結局、後続に差されて5着に終わりました。

 荒れているだけなら偶然だと言えなくもなさそうですが、1番人気と2~4番人気の成績差が大きい以上、陣営が3歳未勝利の最終週を強く意識していること、そしてそれが結果にも反映されていることは間違いないでしょう。

 最後にラストチャンスの未勝利で勝ち上がった馬は次走以降買える馬なのでしょうか? 結論から言えば「買える馬」です。ラストウィークに勝ち上がった馬の次走成績は、勝率8.5%連対率23.7%複勝率33.9%で、単勝回収率こそ31%に留まっていますが、複勝回収率は108%もあります。勝って休みを挟むか、そのまま連戦するかに分かれますが、ローテーションでの成績に大きな差はありません。注目すべきは勝った時の人気です。上位人気で勝った馬の複勝回収率も優秀ですが、特に10番人気以下で勝った馬は複勝回収率が318%もあります。人気薄での勝利ということで、見くびられている馬が多いのだと思われます。もちろん、フロックで勝ったのか、実力で勝ったのかは個別の見極めが必要になるでしょう。日曜の新潟4R、328倍で逃げ切ったケイツークローンは厳しいラップで逃げ切ったように思いますが、次走はまだ疑われて美味しい配当にありつけるかもしれませんね。