「コーナーで外を回す不利が大きくなるのはどういう時?」

私の予想理論「余力ラップ」は①基準ラップをクリアしているかどうか、②今走の有利な枠順・脚質を考える、③レース映像を振り返る、の3つの手順で成り立っています。

この中の③レース映像を振り返る、は主に、スタートで出遅れたかの確認(序盤)、個別ラップの確認(後半)のために行うものです。ただ、時間のある私は、これとは別にコーナーで外を回ったかについても確認しています。やはり外を回すのは競走において不利です。特に芝はその傾向が強くなっています。

「コーナーで外を回っているか確認するのには時間が必要だから……」と思っている方は、意外に多いのではないでしょうか。恥ずかしながら私自身が先日まで知らなかったのですが、JRAのホームページやnetkeibaの成績表では、外を回しているかどうか、一目で分かる仕様になっています。注目すべきは()マークです。netkeibaの説明では「(1,2,3)は1馬身未満の間隔で並走している馬群を内側の馬番から示します」と書いてあります。つまり、()内の頭数・順序を見れば、内から何頭目を回したか分かるという訳です。

例を挙げます。8/20の小倉10R・薩摩ステークスで2番人気に推されたコパノニコルソンは1.2コーナーでかなり外を回されました(添付画像をご覧ください)。1コーナーが内から2頭目、2コーナーが内から3頭目だと分かります。パトロールビデオを確認するとより鮮明に不利が分かります。というのも、内から3頭目とはいっても最内の馬がかなり外に出しているので、実質、内から5頭目分くらいを通しています。映像確認で精度は上がるでしょうが、時間短縮のために成績表を見るだけで済ませるのもありでしょう。私は今週の回顧でどんどん利用しようと思っています。

では、どういう時に外を回す不利が大きいのでしょうか。私は2つの条件が重なった時だと思っています。片方だけの時は場合にもよります。

①コーナー区間が長いコースは、外を回している分だけロスの時間が長くなって不利が大きくなる。
②コーナーで速度が出るコース(仕掛けのタイミングと被る・下り坂になっているなど)や速度アップして回ってきている時は、疲労が大きく不利が大きくなる。

①は分かりやすいかと思います。②は人間でも肌感覚で分かるかと思いますが、全速力の時は一気に疲労が溜まります。そこから多少速度を落としただけでだいぶ楽になるはずです。100m走でもずっと全速力では走れません。前半は多少速度を押さえつつ、後半で全速力を出す人が多いのではないでしょうか。馬もほぼ同様だと思われます。速いスピードでコーナーを回った上に外を回すと、最後の直線で止まるシーンが目立ちます。前述したコパノニコルソンは1.2コーナーで外を回りましたが、このレースはハイペース。コーナー部が「11.1-12.4」と流れたので、余計に疲労度が大きくなったと考えられます。

東京芝1600mは外枠有利になっていますが、これは3.4コーナーが中緩み区間に被っていることと関係あるはずです。私は東京マイルで外を回していても不利判定にはしません。新潟芝外回りも、直線が659mと長く、コーナー区間も短いため、外は不利になりにくいのでしょう。

近年の阪神芝は内枠圧倒的有利になっていますが、阪神競馬場はおにぎり型で、コーナー区間が非常に長いことが影響しているものだと思われます。外回りは3.4コーナーで約700mくらいあります。実はおにぎり型の特性上、阪神は内回りもコーナーが長く、約600m程あります。外回りはもちろんのこと、内回りのコーナー角度も他場に比べて緩くなっています。「内回り」という名前から騙されやすいので注意しておくべき点です。

阪神ダート1800m・2000mは3コーナーが丁度、下り坂になっているので、ここを速い速度で通過すると最後まで脚が保ちません(L4部に当たります)。中京ダートではコーナーでの外マクりが厳禁だと言われていますが、ここも3.4コーナーが下り坂だからでしょう。中京ダート1800mは内枠有利と言われていますが、実は低速馬場の場合、外枠有利になりやすくなっています。コーナーで速度が出ない以上、外マクりが有効になるからでしょう。それなら短距離も同様のはずなのですが、あまり耳にしません。短距離も同様でしょうが、中長距離の方がより影響が大きいのかもしれません。また、ダートそのものが芝よりも低速馬場なので、外枠有利のコースが多いのだと考えられます。

続いて、成績表ではどこのコーナーを見るべきでしょうか。まず第一に3コーナーが重要です。続いて1.2コーナー。4コーナーの場合は、成績表だけだと勝負所ということで外に出していることが多く、あまりアテになりません。

他に注目すべきなのは、極端に内が有利になったレースです。9/10の阪神8Rは1.2.3.5.4.6番枠という順番で決着しました。この上位6頭の内、3コーナーで内から2頭目を通したのは2番枠で逃げ馬の外に付けたケイデンシーマークだけで、他は全て最内を通していました(成績表のみでの確認)。ということは、外枠は相対的に不利が大きかったと考えられます。このレースで内から3頭目を回したのは10.オラヴェリタスのみ。次走はダートでしたが、先日の日曜に勝利を挙げました。他に内から2頭目だったのは14.マルクパージュと15.ネイキッド。2番人気で飛んだマルクパージュは特に注意しておくべきかもしれません。

①の「コーナー区間が長いコースは、外を回している分だけロスの時間が長くなって不利が大きくなる」と②の「コーナーで速度が出るコース(仕掛けのタイミングと被る・下り坂になっているなど)や速度を増して回ってきている時は、疲労が大きく不利が大きくなる」だけは理屈として覚えておくのをオススメします。あとはコース形状さえ確認すれば、臨機応変に対応可能なはずです。どのラップ区間がコーナーになっているかなどは「競馬ラボ」というサイトの「全競馬場コースデータ」に詳しく記載されています。私もまだまだお世話になっているサイトです。