「騎手の捉え方革命!」

皆様は騎手をどのように馬券に落とし込んでいるでしょうか?
私は2020年半ばまで全くといって良いほど馬券の参考にしていませんでした。どうしてかというと、参考にする方法が分からなかったからです。

上手い騎手でも下手に乗ることがある。その逆も然り。「良い馬に乗っているから誰々は勝てる」と聞きます。関係者と良好な関係を築いているかどうかに左右されるようでは、技術と関係ないじゃないかと感じていました(騎手の政治力を馬券術にしている『政治騎手名鑑』シリーズが出ています)。

世間は騎手で買う人も多いから、何となく、リーディング上位の騎手は売れすぎて回収率が取れないのではないか、とも思っていました。データを取ろうにも、馬質が違うのだから参考になりません。1回大穴をあけるだけで回収率は爆上がりするわけです(馬券裁判で有名な卍さんはその点を補正した上で『妙味度名鑑』を書いています)。

ずっと騎手欄を見ないままでしたが、とはいえ、いつか予想ファクターとして導入しなければ、と思っていました。

転機になったのが、TAROさんの『競馬記者には絶対に書けない騎手の取扱説明書』です。この本の帯には「上手いか下手かは関係無い。馬券に利用出来るかどうかだ!」と書かれてあります。手短に説明すると、騎手の「巧拙」ではなく「騎乗スタイル」に焦点を当てている本になります。

「騎手を巧拙で考えない」という考え方には非常に共感させられました。「上手い・下手」は非常に曖昧な表現・考え方だと思っていたのです。
また、騎乗スタイルというのは、馬に応じて変えられるものだろうと漠然と思い込んでいました。そういう騎手も一部いますが、多くの騎手には自分流のスタイルがあること、そしてそれをなかなか変えられないのだと、本書の序章を読んで図星を突かれた!ギクリ!と唸らされました!柴田善臣騎手の消極性について書かれてあったのですが、私は彼の騎乗馬を買って「どうして逃げないんだ!」と憤った記憶があります。積極的に逃げようとすることは、ほぼない騎手だというのに(笑)「逃げることに期待して買った自分が悪かったんだ……」と分かりました。

本書は散文中心で書かれてありますが、私は二項対立で捉えると分かりやすいと感じています。騎手の捉え方のご参考にどうぞ。

例: ※カッコ内は調べ方の一例です。
①積極的↔消極的(TARGETで逃げ馬率を調べる。積極的でも川田騎手のように逃げない騎手もいる)
②スタートが得意↔スタートが苦手(インターネット競馬新聞「馬三郎」では「騎手の出遅れ率」の表記がある)
③先行得意↔追い込み得意(スタートの巧拙と関係あり)
④瞬発力タイプ向き↔持続力タイプ向き(ディープインパクト産駒が得意か、ハーツクライ産駒が得意か、など)
⑤芝向き↔ダート向き(成績に出ます)
⑥小回り向き↔大箱向き(中山芝と東京芝の成績を比較する、など)
⑦内枠得意↔外枠得意(成績に出ます。芝は内枠有利・ダートは外枠有利な点に注意)
⑧内を突く↔外を回す(得意な枠成績と重複する箇所あり)
⑨特殊スキル系:距離を保たせる・千直得意・道悪得意・馬場読みが得意・馬と会話ができる

2020年出版の本なので、乗り方が変わった騎手・その後にデビューした騎手は掲載されていません。ですが、重要なのは騎手の捉え方。それさえ掴んでしまえば、自分で見て騎手を評価できます。ある意味、考え方を売っている本とも言えるので、今でも活用できます。騎乗スタイルまで予想するものだと考えると、騎手を責めることも減って精神衛生に良いと言えます。

騎手に優しくなれる貴重な本なのです!笑 でもやっぱり、たまには文句言いたくなりますけどネ。なお、たいしんさんの「ジョッキーエフェクト」は一度読めば、継続して利用できる内容が多いのでオススメです。

どう騎手を判断しているか、別角度からでも構いませんので、皆様のご意見やご感想を聞かせていただけると嬉しく思います。私の騎手の知識はまだまだ序の口で、スタイルの分からない騎手も多いですが、7/16の函館6Rは横山和生騎手を見ていたから取れた1つの成果だと思っております。