「改修後の京都ダートの傾向に注目!」

2020年11月1日の開催後から京都競馬場は改修工事がスタート。2023年4月にリニューアルオープンしました。コースレイアウトには変化のない改修という話で、傾向にも変化はないだろうと考えていたのですが、特にダートは大きな変化が見受けられました。「低速化」「外枠有利」「距離延長馬が走りやすい」の3点にまとめてみました。

この傾向変化の理由はおそらく、路盤が改修されたからではないか、と推測しています。今のところ、それ以外の要因が見当たりません。
コースの路盤は芝・ダート共に3層構造になっています。ダートは上から、クッション砂(表層)、山砂(上層路盤)、砕石(下層路盤)となっているそうです。

クッション砂の厚さは9センチに統一されており、その産地も統一されています。ですが、山砂や砕石に関しては競馬場毎に異なっています(JRAホームページを参照)。

1:全般的に低速化。道悪になっても一気に高速化はしない。
お気づきの方が多いと思いますが、改修後の京都ダートは以前よりも時計がかかっています。1~3着馬の平均タイムを比べてみましょう。前者が改修後で、後者が2018~2020年です。

1200m 1.12.70 1.12.51
1400m 1.25.21 1.25.45
1800m 1.54.00 1.53.73
1900m 2.00.76 1.59.44

乾燥や凍結防止剤の影響を受ける冬開催がまだないにもかかわらず、低速化が顕著です。また、雨が降っても時計が一気に高速化しないという特徴もあります。
 東スポのYouTubeにて、安田翔伍調教師がダートの高速化を歓迎していない主旨の発言をしていたのを聞いたことがあります。完全な推測にはなりますが、そうした要望に応えて馬場造成したのではないでしょうか。

2:有利な枠順が外枠に。
かつての京都ダート1800mは内枠有利でした。初角までの距離が287mしかないからだと言われますが、これよりも短いコースで外枠有利のコースもあります。

複合的な要因があるのでしょうが、低速馬場もその一因でしょう。今までも、時計のかかりやすい1月の京都ダートは1800mでも内枠有利が顕著にはなっていませんでした。低速化により、ロスなく回れることよりも、砂を被らないメリットの方が優位になったのだと思われます。内枠有利と言われる中京ダート1800mもこれと似た傾向があり、低速ダートだとむしろ外枠が有利になることさえあります。

ただし、雨が降ると内枠有利になると言っても良さそうです。10月15日(日)は重馬場まで悪化しましたが、1800mは外枠有利じゃない!と違和感を覚えました。時計が出やすくなったことで、今度は内をロスなく回れるメリットが優位になったのでしょう。

3:距離延長馬が走りやすい!?
ダートで距離延長馬が走りやすいのは、新潟競馬場が有名ですが、京都ダートも今のところ、その傾向が強くなっています。

距離延長 勝率5.7% 連対率11.4% 複勝率18.0%
距離短縮 勝率6.6% 連対率11.8% 複勝率16.6%

 かつては短縮馬の方が優位でした。平坦であまりスタミナを要しない側面が大きく出る馬場に変化したのかもしれません。ちなみに、春開催は延長優位で、今開催に関してはほぼ互角になっています。

 まだ十分なサンプル数がないので、一過性のものかもしれませんが、この傾向については今後も注視していく必要があると考えています。