京都競馬場改修の影響により、中京2000メートルになったローズステークス。
中京開催になったことで一気に魅力あるレースになった。
というのも、阪神1800と中京2000は求められる質が全く違うからだ。
阪神1800は、前半スローのラスト3ハロン勝負。それに強いのはディープインパクト産駒。このメンバーなら、リアアメリア、デゼル、リリーピュアハート……。全てこのレースの人気馬だ(一応、オーマイダーリンもいる)。
おそらく、今回のローズステークスが阪神で行われるのなら、これらの馬が上位に来る確率は非常に高かっただろう。
しかし、中京2000ではそうはならない。
ここは特殊なコース。
スタートから上り坂で、それは残り1080メートル地点まで続く。その後、緩やかな下り坂に入っていく。
こうしたコース形状のため、前半はスロー、後半は4~5ハロンのロングスパート戦になりやすい。
丁度、土曜のメイン、中京2000でケフェウスステークスが行われたので、そのラップを見てみよう。
ケフェウスステークスのラップ(※スマホからの場合、左右にスクロールして見ることが可能です)
200m | 400m | 600m | 800m | 1000m | 1200m | 1400m | 1600m | 1800m | 2000m |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12.7 | 23.7 | 35.9 | 48.2 | 59.6 | 1:10.6 | 1:22.4 | 1:34.4 | 1:46.4 | 1:58.7 |
12.7 | 11.0 | 12.2 | 12.3 | 11.4 | 11.0 | 11.8 | 12.0 | 12.0 | 12.3 |
結論から言うと、このコースで1000通過59.6秒は速い。明らかに速い。
1000通過を見た瞬間に、筆者は差し決着になるなと思った。実際、差し決着になった。
では、今回のローズステークスではどうなるか。
明確な逃げ馬が不在のメンバー。
おそらく、61~62秒台で1000メートルを通過するのではないか。
そこら辺りからロングスパート、4ハロンなり5ハロンなりの持久力勝負になるだろう。
ハイペースのメインこそ差し届いたが、馬場はまだ良いので先行有利。
という訳なので、前目に付けられる、かつ、ロンスパ戦に向く馬を中心視したい。
◎ 10 アブレイズ
○ 11 アカイイト
▲ 2 フィオリキアリ
△ 9 クラヴァシュドール
△ 3 フアナ
◎アブレイズ
本命は先行力のあるアブレイズ。
中京開催のここは向くだろうと思い、週中から本命は決めていた。
本命の根拠はフラワーカップにある。
先週のシーズンズギフトの頁にも、フラワーカップに付いて書いた。
(シーズンズギフトの)フラワーカップは、出遅れから先行、結果、ハイペースになり、3着に沈んだが、アブレイズ以外の前の組が崩れているのを考えれば、優秀な3着だったのではないかと見る。ちなみに、風の影響で前有利だったという話もあるが、ラップと、シーズンズギフトがこのレースで指数を落としたことからも、決して前有利ではなかったと判断する。
書いた通りだが、アブレイズはシーズンズギフトよりも前で競馬していながら、シーズンズギフトに0.4秒差を付けて勝ち切っている。元からロンスパ戦になりやすい中山1800をハイペースで勝ち切っていることは、スピードの持続力に関してはお墨付きを頂いたようなものだ。
条件さえ揃えば、シーズンズギフトよりも強い。
その条件が今回揃いながらも、現在単勝六番人気。それより上位人気の馬は、ロンスパ戦に疑問符が付く馬ばかり。
オークスについても簡単に述べておきたい。
一言でいえば、超スローの凡戦である。
そういうレースになったせいで力を発揮出来なかった馬が多数いる。
それを狙うべきだろう。アブレイズは当然、その一頭。
あと、タイトルの「キズナ産駒は何故、重賞で穴を空けるのか?」にも答えておきたい。重要なのは、
キズナ産駒はまず消耗戦にとことん強い。
ということだ。
例を挙げていこう。
マルターズディオサの紫苑ステークス、阪神ジュベナイルフィリーズ2着。
ビアンフェの函館2歳ステークス、葵ステークス。
ディープボンドの京都新聞杯。
クリスタルブラックの京成杯。
そしてアブレイズのフラワーカップ。
以上、議論の余地はあるだろうが、全て消耗戦、でなければ、極端な前傾ラップにはなっている(筆者は基本、瞬発戦・消耗戦というルーズな分け方をする。持久戦は消耗戦に入れている)。
キズナ産駒が消耗戦以外の重賞を勝ったのは、マルターズディオサのチューリップ賞のみである。
若駒のレースというのは、基本的にスローが多い。 そういうレースを平凡な内容で勝ち上がって重賞に出てきても、人気にならない。ところが重賞にもなると流石にレースレベルが上がり、ハイペースも多くなる。キズナ産駒が得意とするレースになるので、穴を空ける、という論理なのだろう。
ちなみに「平凡な内容で勝ち上がって」と書いたが、クリスタルブラックとアブレイズの新馬戦のラップは優秀だったと思う。
とにかく、アブレイズはこのレース、レース上がり35秒台半ばくらいかかればチャンスありだろう。
追い切り見なくても本命の予定だったが、中間で好時計を連発している。
○アカイイト
こちらもキズナ産駒。
札幌での二戦の内容が優秀。
まず、勝ち上がった方のレースのタイム指数が優秀。0.2秒差5着の方もそこそこの指数がある。
そしていずれも後半4ハロンのロンスパ戦だった。
上がりは堅実に上位の脚を使う馬で、それを活かせるのがロンスパ戦。
ここはそうなるだろう。
問題は、届くペースになるかどうか。
他は人気のディープ産駒は全て切り、ロンスパ得意であろう馬をセレクトした。
△フィオリキアリ
これもキズナ産駒。
小倉のロンスパ戦を勝ち上がり。
レース上がり37.2秒もかかったアネモネステークスで2着。
極悪馬場の桜花賞も後方から3位の上がりを繰り出して悪くない内容。
そしてオークス惨敗組。狙いたい。
△クラヴァシュドール
先行力も兼ね備えており、堅実。
(馬場を考えれば)消耗戦になった阪神ジュベナイルフィリーズ、この時は極端な前残り馬場だったが、それを差してきたのは自力がある。この組は、やはり評価しなければならないなと、先週のマルターズディオサで再認識した。
ディープ産駒らよりは、ここの適性もあるはず。
△フアナ
ルーラーシップ産駒のフアナもここは向くはず。
どのレースもそのクラス内ではタイム指数優秀。
特に小倉のロンスパ戦を余裕残しながらも、しっかりと優秀な時計で勝ち上がったことを評価。
消耗戦になったフローラステークスも0.1差の3着。
人気でもここは向くので消すことは出来ない。
他。
リアアメリアはスローのオークスで巻き返してきたことからも、スロー専門のディープインパクト産駒。一番人気で妙味は全くない。
個人的に怖いディープインパクト産駒はデゼルの方。スイートピーステークスで上がり2位に0.8秒も差を付けた。なかなかこのクラスで出来るものではない。キャリアも少なく、能力だけで来てしまう可能性も。
適性だけならディープ産駒の中でもリリーピュアハートか。しかし、秀でたところがなく、何故、ここまで評価されているのか筆者には疑問。
ウーマンズハートは押さえたかったが、クラヴァシュドールよりも下、ということで印を回さなかった。新潟の長い直線は持続力タイプの馬に向く。この馬に向いてもおかしくはないが……。
セウラサーリ、オルフェーヴル産駒で向いてもおかしくないが、サダムパテック、ジュールポレールの下。ラップの裏付けがないし、距離もどうか。
オーマイダーリン、前走は開幕週中京でよく後方から追い込んだ。前走がマイルでなければ中京適性で買いたいが……。
シャムロックヒルはキズナ産駒で向くはず。あとは能力・展開の問題か。
以上。
あとは買い方を迷っている。
最近のコメント